”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”アルカトラズからの脱出” (79年)

主演がクリント・イーストウッド、監督がドン・シーゲルであの”ダーティ・ハリー”のコンビだ。40年も前の映画なのでクリント・イーストウッドも凄く若い。

このアルカトラズってのは色々な映画の舞台になっている。”ザ・ロック”ではショーン・コネリーが唯一脱出を成功させた元囚人役だったし、古いところではバート・ランカスターが62年の”終身犯”(原題は”Birdman Of Alcatraz”)で一躍演技派として賞賛されている。

 

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実際にはこのサンフランシスコ湾に浮かぶ島は脱出不可能と言われ、63年まで連邦警察の刑務所として使用されていたのだがそれを実在したフランク・モリス本人の実録脱走劇として映画化されている。62年の6月に唯一この島から脱獄に成功した囚人(映画では彼の仲間二人が帯同)として知られているが実際に三人とも逃げおおせたのか、それとも溺死したのかは不明だそうな、。

 

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でもこのフランクはずば抜けて頭が良く、強盗罪で収監されていたようだが計画を実行するまでに小さな独房で2年も掛けて壁に穴を開けている。”ショーシャンクの空に”のアンディ(ティム・ロビンス)は冤罪だったがこっちのフランクは若い頃から強盗事件の常習犯だった。同列の脱走劇としては”ショーシャンク”に肩を並べる訳には行かなかったがこの”アルカトラズ”も緊迫感があって最後までダレることなく楽しめる。

この種の映画では主人公は無論だが刑務所長の存在がかなり重要だ。パトリック・マクグーハンがかなり憎たらしい所長だが”ショーシャンク”の私欲を肥やすボブ・ガントンも塀の中に住んでいる連中よりも悪いヤツかも知れない。そう言えば”グリーンマイル”のジェームス・クロムウェルはもっと悪人だったなぁ~。

そこで脱走劇のベストファイブを、、、;

 

アルカトラズからの脱出

パピヨン

ミッドナイト・エクスプレス

”ショーシャンクの空へ”

大脱走”、、、トップは間違いなくこれじゃなかろうか?何せ団体戦だし、配役が凄いわな文句なしでしょう、、、。

 

 

 

 

 

”反撃のレスキュー・ミッション”(13年)

J:COMで無料配信されていた作品でこれまでも何度となく配信されていたらしいが完全にスルーしてた。理由としては配役に知った人もいなかったしどうやらTV用に制作されたアフガニスタンものらしかったので無視していたのだ、。

それが一話の10分くらい経過した所から見てしまい遂に2/3を見て更に続編と最終回まで合計3部作を完走した。どうやらシリーズが6話あってそれを3部作として配信しているようだ。なので通常の45分放映分を90分として一話完結って事らしい。

主題はアフガニスタン原野で紛争が継続している地域、イギリスの元情報部出身のジョン・ポーター(リチャード・アーミテッジ)が主役で其処へ元の雇い主、MI6とアメリカのCIAが入り乱れてスパイ合戦が繰り広げられる。

”反撃のレスキュー・ミッション”(原題は”Chris Ryan's Strike Back”)と言うだけあって実戦部隊としてタリバン討伐に向かった兵士たちを助け出すのがテーマだが途中からレスキューじゃなくて誰が敵側に寝返っているのか、そしてイギリスとアメリカの腹の探り合い風な展開になって行く。

 

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この手のテレビ用に作られたモノとは思えない程、潤沢に制作費を掛けているし(恐らくロケ地はアフリカじゃないか?)出演料を値切って戦闘場面に資金投入している事が良く判る。

タイトルにもなっているこのクリス・ライアンは実在した兵士でイギリスの特殊部隊SAS出身の隊員で実際に作戦に従事したヒーローらしい、、でもあくまでもこれはペンネームで実名は明かされていないようだ、。

 

 

 

 

 

 

”女王陛下の007”(69年)

これは007モノとしては過去に一番見る回数が少なかったかも??理由としては勿論ショーン・コネリーの後釜として抜擢されたジョージ・レーゼンビーがその理由だ。

 

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そりゃタッパもあるしあのふてぶてしい風采、それに若くてアクションはこなせるし当時、プロデューサーのサルツマン、ブロッコリ両氏が”うん、行ってみよう”と頷いた事は察する事が出来る。でも彼は生っ粋のオージーで原作に出て来るボンドとはかけ離れているのだ。

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イアン・フレミングが書いた原作としては確か10作目で監督はピーター・ハント、内容はかなり現代にも通用するんでないかと思えるモノで宿敵、ブロフェルドが出て来る。最もコイツが一連のシリーズではそれまで”顔出し”はしてない黒幕だ。それが今回、直接対決をする事になるがアタマはハゲでもテリー・サバラスが演じていてこれがミスキャストだった。この時代、このおっさんは”刑事コジャック”で有名になってしまいどうしても根っからの悪人って雰囲気ではないのだ。

原作としてはかなり良い、最初の”ドクター・ノオ”とか日本を舞台にした”007は二度死ぬ”なんかより数段上だと思っている。でもやっぱりジェームズ・ボンドが本気で恋に落ち結婚するって設定は良いとしてもボンドの衣装が悪いのだ、、ヒラヒラの付いた民族衣装用のシャツとかスカートまでは履いて出て来るし指輪を買いに行く場面じゃナンと空色のスーツ姿だ、、オージー訛りは辛うじて封印しているが明らかにキングズイングリッシュじゃないしユーモアあるセリフも全部が嫌味に聞こえちまう、。

それら全てレーゼンビーが悪い訳じゃなく脚本だったり衣装係だったり、でもその辺の決定権はプロデューサーじゃなくて現場の監督の責任じゃなかろうか?

全シリーズ読んだ感想としてはやはり”ゴールドフィンガー”が一番良かったか、、でも初めて書いた”カジノ・ロワイヤル”の最初の映画化ではズッコケたがリメイクされたダニエル・クレイグ版は過去に作られた24作中一番の出来だと思う。そうなるとやはり原作の良さを上手く映像化させる手腕はプロデューサーって事になるんだろう。

それに短編集を巧みに編集して長編作として見事に復活させる事だって可能だ。そんな007は”ナッソーの夜”、映画化された時は”慰めの報酬”(この邦題は今でも解釈が間違っていると思う)としてダニエル・ボンドの”カジノ・ロワイヤル”の続編として復活しているのだ、。

勿論その逆もある訳で素晴らしかった原作が映画化されトホホな結果になるケースだってあるわな、、。

 

 

 

 

 

 

 

 

”特捜部Q - カルテ番号64”(18年)

以前記事にしているがこの”特捜部Q”シリーズはデンマークのユッシ・エーズラ・オールソンと言う作家が書いている警察モノでこれまでに8冊を書き下ろしそれが映画化されている。

以前ブログに投稿した時点では、、;

織の中の女

キジ殺し

Pからのメッセージ

の3作を一気に見たのだが今回はその次に書かれた;

カルテ番号64

がやっと配信されて見る事が出来た。この後には、;

知りすぎたマルコー

吊るされた少女

自撮りする女たち

アサドの祈り

とまだ4作あるのだがさて何時になった全部見れるのか?どうもこんな風に細切れにされるとある時点でそんな映画があったことさえ忘れてしまう。放映するならそれなりに定期的にやってくれないものだろうか?それの方が主人公の性格を追えるし興味も尽きない、今回のようにナンで主人公は冒頭から脱力感でいっぱいでやる気がないのか判るハズなんだが、。

大筋としては”コールドケース”の事件、迷宮入りだったものがひょんなところから現代起きている殺しに繋がっていくと言うモノで30年前に起きた事が蘇ったり8年前に起きた事件が妙な繋がりを見せて行く、。日本にも同じような刑事モノが沢山あるが主演は個性的な二人プラス女性刑事一人、如何にも警察署の本流じゃない部署で活躍する訳だが見始めるともう止まらない、。

この”カルテ番号64”はやはり古い事件だがテーマはその昔、アーリア人種を崇めた犯人グループが強制的に不妊手術を実施し、他所からの移民政策を排除し優秀な白人種の世界を作ろうとする展開だ。こんな発想は日本みたいに全人口の99%が同一民族だなんてケースでは想像もつかない物語になっている。

 

 

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それでも好きなジャンル、それも珍しい北欧の映画、こりゃスティーグ・ラーセン(スウェーデン)の”ミレニアム・シリーズ”から映画化された”ドラゴン・タトゥーの女”に限りなく近い描写満載のド真ん中のストライクだぁ~、、。

 

 

 

 

 

 

 

 

”ザ・エッグ ~ ロマノフの秘宝を狙え”(09年)

2009年の映画で主演はモーガン・フリーマンアントニオ・バンデラス、しかし乍ら当時はコロナの”コ”の字も流行してないと言うのに本国では劇場公開には至らず”いきなりビデオ”、、日本では10年になってやっと劇場公開にはなったようだが、センター前にポトリと落ちるヒットにはならずだった、そりゃ”ザ・タマゴ”だなんて邦題が悪いんじゃないか?ああ、逆か、邦題は後付けかな?せめてタマゴなしの”ロマノフの秘宝を追え”だけで良かったんじゃないでしょうか?

原題は”Thick As Thieves”と見事なオヤジギャクみたいだが監督はミミ・レダーで過去にはジョージ・クルーニーニコール・キッドマン主演の”ピースメイカー”(97年)とか、”ディープ・インパクト”(98年)等のレフト前、ライト前のクリーン・ヒット作を連発している。

 

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映画の主人公はリプリー(M・フリーマン)、、どうもこの名前は”太陽がいっぱい”を思い起こすな、、と呼ばれるNYでは伝説の大泥棒として有名な男、キース・リプリー)で、引退前の最後の大仕事として4000万ドルの価値があるロマノフ王朝の財宝「インペリアル・イースター・エッグ」の強奪を計画する。

新たに手を組んだ相棒のガブリエル・マーティン(アントニオ・パンデラス)と共に、厳戒態勢が敷かれている建物の金庫内に侵入にする。だが、完璧だと思われた矢先、彼らの計画は思わぬアクシデントによって次々と狂い始める。その背後にはN.Y.市警、FBI、さらにはロシアン・マフィアの謀略が複雑に絡み合っていた……。by一部ウィキ

なんだが終盤に二つヒネリが加算され意外な展開になって行く。先日宇良が決めた”居反り”みたいなクライマックスだった。

 


宇良居反り

それなりに最後まで見れたがもう一度見ろと言われてもちょっとね、、007とは大分違うんだな、これが。最初っからお金を払えと言われても、、でも見てない事には対価の価値があるのやら、、内容は判らないしそうなると”タマゴ”は普通見ないわな。

タマゴはやっぱりハードボイルドに限るぜ、、こんなヤワなタマゴは性に合わなかった。