”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”バルタザール 法医学者捜査” (18~20年)

フランスじゃ高視聴率を獲得した犯罪捜査ドラマシリーズらしい。シーズン3まで放映されたのだがシーズン1は6話まで、シーズン2は10話、最後の3は8話で終わってしまった。まあ先方にも都合があるんだろうけど録画している側としては途中で終わっているようで何処かで見逃したのかと気になってしまう。

日本にもそのまま”法医学教室の事件ファイル”と言う似たような設定のドラマがあるしアメリカにだって例のパトリシア・コーンウォールが描くところのスカーペッタはタイトルは”検屍官”だが要するに”法医学者”の事件ファイルである。

こっちのフランス版は主演の法医学者、バルタザールはトメル・シスレーがそして敏腕刑事のバックにエレーヌ・ド・フジュロルと言う女優さんが実にパリジェンヌな女刑事役を演じている。

 

全編24話あった訳だが大筋は一つ、それはバルタザールの新妻が強盗に殺害されていてその真犯人追及が全シリーズを通じてのメイン・テーマになっている。シリーズ通して真犯人を追うと言う手法はアメリカの”逃亡者”と同じだがそれとは別に毎回完結でバック刑事と共に個別の犯罪捜査そして解決にあたっている。

そのバック刑事には夫もいるしティーンエージャーの妹、兄もいるのだが夫は浮気中でさてバルタザールとバック刑事は何時になったらお互いを認め合い恋に落ちて行くのだろう、、と言う別の興味も最後まで継続していくので毎回目が離せなくなる。

最初のシーズンでは二人とも相反する性格だし仕事の進め方でもなかなか上手く行かないのだがシーズン2ではバルタザールのクセはあってもその優秀さゆえ事件が解決する訳でベック刑事も次第に彼に信頼を寄せて行く。

シーズン3になるともう彼女には仕事面でも私生活でもバルタザールが居ないと仕事が手に付かない状態で二人の距離は急接近していく、、ところがひょんな事からバルタザールが同じアパルトマンの上階に越して来た謎の美女と仲良くなってしまいやっと時々姿を見せる元妻の”面影”から解放され結婚したいと言い出す展開に、。

そしていよいよシーズン3の後半戦へと突入していくのです。さあバック刑事の運命や如何に、そして二人に明るい未来はあるのか、、、となってクライマックスへ、。

まあ確かに優秀ではあるが超クセのあるバルタザール、その逆にベック刑事はごく普通に正常で素直な性格、それに警察仕事には優秀で離婚を経てシングルマザーへ、そんな展開でもう途中でやめる訳にはいかなくなる。こうして気が付くと99%どっぷりとプロデューサーのワナにハマっているのです。

”勝利への脱出” (81年)

これまで”栄光への脱出”、”大脱走”や”ロンゲスト・ヤード”みたいな脱出ものや刑務所内で実施されるスポ根試合など色々あるがこの映画は刑務所に居る連合軍捕虜がドイツ軍とサッカー対戦で決着を着けると言うものでそれに更に脱走がメインテーマだ。

時代背景は第二次世界大戦中で実際にあった試合が1942年、ウクライナで行われた国際試合が元ネタらしい。どうも1962年にも同じようなサッカー試合が元になった映画も制作されているようだがこの映画にはサッカーファンなら見逃せないブラジルのペレやイングランドボビー・ムーアスコットランドのジョン・ウォークなどホンモノの有名選手がそのまま出演している。

 

 

主演はシルベスター・スタローンマイケル・ケイン、それにドイツ軍将校役にマックス・ヴォン・シドーが配役されていて監督はジョン・ヒューストン、見応えあるスポーツ&大脱走映画に仕上がっている。

映画の舞台は1943年のゲンズドルフ捕虜収容所で多くの捕虜が収容所生活をしている。比較的緩やかな捕虜生活のなかで暇を持て余した連合軍のサッカー好きがドイツ軍の将校から国際試合を持ち掛けられパリ市内で行われるその試合の最中、地下の複雑に入り組んだ下水道を使って選手たちを逃げさせようと言う計画だ。

試合に先立ってアメリカ人のハッチ(S・スタローン)は単独で脱走しパリの支援者、レジスタンスの元へ逃げるのだが其処で計画の全容を教えられその計画案を刑務所へ持ち帰る為に再度捕まって元の刑務所へ送り返される。

その計画はチームの監督でもあるジョン(M・ケイン)に伝えられいよいよ試合の当日、パリの1938年ワールドカップ大会が実際に開催されたコロンブと言う市内の球戯場へ行く訳だがパリ市民が5万人も押し寄せ大盛況のなかキックオフになる。

そんな映画の展開でハーフタイムには選手一同が地下にあるトンネルを伝って大脱走になる予定だったんだが、、其処には捕虜として捉われている事よりサッカー選手として何とかこの試合に勝ちたいと言う選手としての目覚めが生じて来てしまうのである。

終盤の30分はペレが実際に試合の進み具合を監修しゴール場面もデザインしたらしくあの手この手と反則っぽい攻撃を仕掛けて来るドイツ軍にもめげず神様らしい足芸を披露してくれる。

同時にゴールキーパーとして試合にも出ているハッチが最後の最後にペナルティゴールを阻止するなどサッカー試合としての見どころも満載だった。そして選手たちは結局、ハーフタイムで逃げられた地下道への脱出口には向かわず試合で決着を着けそして其処には思わぬ”勝利への脱出”が待っていたのであります。

バート・レイノルズが人気絶頂の頃に主演した”ロンゲスト・ヤード”はアメフトの試合で刑務所の看守VS囚人って図式だった。まああっちは終盤、脱出するって訳じゃないのだがやはりプロ選手としての習性に目覚めてしまい古参の囚人に禁固刑になる価値があるか?と問いバート・レイノルズがその囚人に頷かれ意を決した場面が蘇って来た。

 

 

 

”クーリエ:最高機密の運び屋” (20年)

主題はスパイ、時代は60年代、背景は英米ソの冷戦時代、そして事実に基づくお話と来たら先日の大谷クンみたいな4ヒット連発で見ない訳には行かない。主役はベネディクト・カンパーパッチで彼がイギリス情報部MI6にリクルートされる全くの素人ビジネスマンに扮している。

 

 

終盤メインになる史実はキューバにミサイルを配備するべく戦略を練っているソ連側とアメリカ側はケネディ大統領がそれを阻止すべく大統領演説をテレビ中継し米ソの衝突危機を回避する箇所でそれに至るまでの双方のスパイ活動が物語の大筋だ。

同じような背景でスピルバーグ監督が撮った”ブリッジ・オブ・スパイ”はアメリカのU偵察機をメインに双方のスパイ交換で終わるお話だったが此方は最後にグレヴィル・ウィン(B・カンパーパッチ)は2年の長きに幽閉されていたのが解放されるがロシア側の当事者は処刑されてしまうと言う物語だった。ウィキには、、;

 1960年おグレヴィル・ウィンはMI6の依頼で情報の運び屋としての役割を引き受けることになった。ウィンはセールスマンとして頻繫に東欧を訪れており、MI6は彼ならば怪しまれることなく任務を遂行することができると考えたのである。それから2年間、ウィンは家族の反対に直面しつつも、ソ連側の内通者(オレグ・ペンコフスキー)からの情報を運搬し続けた。ウィンが命がけでもたらした情報はキューバ危機を「危機」のまま終わらせることに寄与した。本作はそんなウィンの運び屋としての活動を描き出していく。

と書かれているがカンパーパッチの苦悩や愛国心に目覚める箇所は素晴らしい、やはり演技力ってのはこんな風に発揮されるもんだと再認識させられた。半面、緊迫感に欠ける箇所も多くロシア内でオレグが密告者ではないか、、と内定される場面やKGBの暗躍する箇所が手薄になってしまった。

ストーリー的には知られている逸話だし目新しい展開にはなり様がないのだがもう少しCIAとKGBの対立が緊迫感を持って描かれていたら繰り返し見ていたかも知れないぞ。それと主役以外の配役陣に魅力が乏しくて折角の4ヒット題材なのに上手く生かされていなかった、、これは大谷クンが幾ら毎試合大活躍してもチームは試合に勝てないってのに似ているような気がする。ともあれ大好きな題材でそれなりの映画でした。

 

 

 

 

 

 

”パリの調香師 しあわせの香りを探して” (19年)

原題は”Les Parfums"と言うだけなんだが邦題はもっと内容を表現するタイトルに、、でも”調香師”ってのには面食らった。一般的には”調教師”とかなら知っているが香りを判定する人達を”調香師”と呼ぶのは知らなかったよ。現実には目を使って色の判定をする専門家もいるし音響や音に関しては映画制作でも重要な任務を担っているのだが、。

 

この映画、原題を読んだだけだったらそのままスルーしていたかも知れないが親切な邦題はその内容まで教えてくれる。”しあわせ探し”ってのは常用句だが今回は”香り”だったのでこりゃパリが舞台で香水製作の内幕じゃなかろうかと録画して置いた。

 

主演の伝説的調香師、アンヌにエマニュエル・ドウヴォス、そして冴えないおっさんのギョーム役にグレゴリー・モンテルで舞台はパリだ。ギョームは離婚調停中でリムジンの運転手、10歳になる娘と過ごせる時間が欲しくて狭い1DKのアパートからもっと広いアパートへ越したいと奮闘している。

 

 

 

そんな彼に雇い主のアルセーヌがもっと稼ぎが見込める専任運転手として調香師のアンヌを紹介して来る。しかしそのアンヌってのは天才的な調香師ではあるのだが実に我がままで運転手のギョームへ色々と運転以外の指図をして来る。こんな横柄な人とは上手く行かないと思ったギョームだが次回も彼女から指名が入り又もや長距離の出張へお供する事になる。

 

そんな出だしだがどうもアンヌは大きな仕事を抱えている割には順調に仕事が進んでいない、それには秘密があって自身は嗅覚の衰えを感じているのだ。そんな彼女と何とか娘と住みたいと願う、しがない運転手がどう繋がって行くのか、、。

 

この二人の映画で特に大きな山もなく谷も無く映画は淡々と進んで行くのだが、、実にハートウォーミングでチャーミングな映画に仕上がっていた。エンディングの背景はとある威厳がありそうな建物へ洋々と入って行く二人、、カメラがバンして玄関口に書かれた看板には”Dior"の表示があった、。

 

どうやらフランスで公開された時にはその週のナンバーワンの収益を記録したらしい、コレはオレにも頷ける。見終わってホッコリする作品、これに尽きるな、、。アンヌを演じたエマニュエルさん、フランスじゃ引っ張りだこの女優さんらしく芸歴を見たら多くのTVを中心とした作品に出演している。角度によってはちょっと前のジャンヌ・モローの雰囲気で如何にもパリジャンって印象だった。

”ナイブズ・アウト / 名探偵と刃の館の秘密” (19年)

そりゃ原題は”Knives Out”だがそのままカタカナにするかな~、、副題があるならそれをそのまま邦題にしときゃ良いものを、。兎も角これまで断片的にしか見てなくて通して見たのは初めてだった。

アナ・デ・アルマスとダニエル・クレイグの絡みがあり”007”での魅力満点のアナちゃんとは大分印象が違うのだが(恐らく撮影されたのは此方が先)この映画から”007”に抜擢されたとしたら配役を担当したCasting担当者とプロデューサーの選球眼には感心するっきゃない。

映画は典型的なアガサ・クリスティー調で豪華な配役陣を使い限られた空間で起きる殺人事件を解決するってスタイル、、これはもうエルキューロ・ポワロでも良かったんじゃなかろうか?

 

 

アメリカの東海岸が舞台なせいかIMDbやアメリカ国内の専門家の評価が驚くほどに高いのにも驚くが個人的にはやはり富豪がこんな形で殺害されるストーリーからはイギリスの片田舎を想定してしまう。

ダニエル・クレイグが呼ばれてやって来る私立探偵、ブノワ役を演じているがボンド役でのキングス・イングリッシュから一転、アメリカ南部訛り丸出しで惚けた探偵を好演している。片やアナ・デ・アルマスは富豪ハーラン(クリストファー・プラマー)の専任看護婦役で派手は一切無くひたすら地味な身なりに徹していた。とてもこの映画での彼女から”007”で魅せたCIAの駆け出しスパイは想像出来なかった。

他の配役はジェイミー・リー・カーチスマイケル・シャノンドン・ジョンソントニ・コレットクリス・エヴァンス等と早々たるメンバーでハーラン一家の家族を演じている。この手の犯人捜しものはそれなりに売れた配役陣から真犯人を見付けるのが主旨で誰がウソをついているのかを解き明かすのが私立探偵の役目だ。

映画では地元の警察署は自殺と断定しているが匿名の依頼書によってブノワ探偵が捜査にあたる事になり各関係者を尋問していくと言うお決まりのスタイルを継承している。一体誰が何故私立探偵を依頼したのか、、真犯人探しと共にその謎解きも加味され最後まで???で終始した娯楽作でした。

待てよ、、映像を検索していたらこんなのがあったぞ、、本当かいな?