”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”サムライ”(67年)

ちょっと考えたらやはりこの一年間、知らずにNHKさんには一番お世話になっているようだ。地上波じゃなくてBSの方だが夏場はメージャーリーグ野球、そしてBS2では映画各種、何故か”レターボックスサイズ”とか案内されているが邦画、洋画(殆どが古い秀作)を問わず定期的に放映してくれる。それも字幕版なのでついチャンネルが合わさってしまう。

先日は”サムライ”が放映された。アラン・ドロンがパリの街を舞台に孤独な殺し屋を演じるメルヴィル監督のフィルムノワールだ。アラン・ドロンは60年の”太陽がいっぱい”から7年後で人気絶頂の頃だった、。もう何度となく見ているのだがオーストラリアじゃ英語の字幕で見ていたので日本語の字幕で見るのはロードショー公開時に日比谷映画館で見て以来の事かも知れない。

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ジェフ・コステロ(フランスっぽくない)に扮した殺し屋役はその後映画界に多大な影響を与えたそうだがこれはメルヴィル監督ならではの演出だったんじゃなかろうか?その後有名になった殺し屋たち”レオン”、”ジャッカル”、”ニキータ”、”レッドスパロー”などとはかなり違う個性の持ち主だ。女性の殺し屋はちょっとジャンルが違う気がするが男の場合は皆さん孤独を愛し、雇い主には忠実で仕事には実に熱心だ。ジェームス・ボンドだって早い話、殺しの許可証を持っているんだから”殺し屋”と分類されても良いようなものだが、。

この”サムライ”では冒頭、武士道とは何ぞや、、の説明が入り(”Ronin”と言うジョン・フランケンハイマー監督作品でも”浪人”とは何ぞやって解説があった)、籠に入った小鳥と暮らすジェフの孤独な生活振りが強調される。そんな彼が駐車しているクルマを盗み、カギ穴へ次々と輪っかに繋がれた鍵を差していく、この時代ならではの演出だが視線は降りしきる雨に向け、一本ずつ鍵穴を試すのは悠長だなとは思ってもこのワンカットだけで沈着冷静な殺し屋の心理状態を実に巧みに引き出しているのだ。

しかし次のシーン、ジェフの仕事振りはと言うと、、深夜、つかつかと大勢の客で賑わうクラブの奥へ入って行き、事務所で標的に会いいきなり拳銃をぶっ放すのだがナニもそんな大勢が飲み食いしているクラブでヤル事はないじゃないのかな~、、とそれは余計なお世話か?案の定、人目に付いているので”この人が犯人よ、”と目撃者として証言する人間が沢山出て来ちまう。それが後半、彼の命取りになるのだが、、。

そんな殺し屋を見回して人気投票をすると近年では圧倒的に”ジョン・ウィック”(キアヌ・リーブス)、”ジェイソン・ボーン”(マット・デイモン)、”アントン・シガー”(”ノーカントリー”のハビエル・バルデム)が上位に食い込んで来るようだ。彼らは殺し屋とは言っても”必殺必中仕事屋稼業”とは違って敵が恐ろしく多いのだ。もう完全に団体戦、即ち殺戮状態で一人を倒すためだけに雇われている訳じゃないのだ。

まあこのランキングを見てそんな結果になるとは判っていたがそれが”ニュー・シネマ”、、だから爺は”オールド・シネマ・パラダイス”と称しているのさ、、。

知人、友人に殺し屋が居る訳じゃないので彼らの実態はどうなのか?恐らく派手なところは一切なくごく普通の格好で暮らしをしている人たちなんだろう、、サンフランシスコを舞台にしたスティーブ・マックイーン主演の刑事ドラマ、”ブリット”に出て来たような二人組の殺し屋、、あんなのが恐らくホンモノなんじゃなかろうか?アラン・ドロンのように目立つ美男子じゃ絶対に不利だよ、。

 

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こっちは確か67年に公開された当時のポスターじゃなかろうか?IMDbでは近年うなぎ上りに評価が上がり現在8.1と”ジャッカル”の7.8を越しているのだ。”レオン”は何と8.5とこの手の殺し屋映画の中ではずば抜けて高評価なのは昔からちっとも変わってない、。