”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ジャパニーズ・ストーリー”(03年)

原題もそのまま”Japanese Story”、、確か邦題もそのままだった気がするのだがオーストラリアじゃ公開当時、静かな”大反響”でいそいそと映画館へ出向いたがもうこれ以上明快なタイトルはないと断言出来る。肩を並べる明快さでは2003年に公開された”Australia”、(”オーストラリア”)ニコール・キッドマンヒュー・ジャックマン、監督はバズ・レーマンと同列ではないか?

日本国内ではどんな評判だったのか判らないがオーストラリア映画として彼方では色々な映画賞を軒並み獲得し”日本人を描いた”作品としては過去最高の評価を頂いた気がする。しかし乍ら映画を拝見した日本男児としてはかなり困惑したものだ。一言で言えばこの映画で描かれた日本の男はオレの親父、いや明治生まれの祖父じゃあないか?と思わせたものだ。

 

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主演はトニー・コレットそして日本男児綱島郷太郎、監督はスー・ブルックと言うビクトリア州生まれのオージーだ。別に彼女は日本と確たる繫がりがあった訳でもないし日本に住んだ事もないので彼女の描いた日本男子はあくまでも豪州内で仕入れた知識や料簡が元になっているのだが、、。

サンディ(T・コレット)は、西オーストラリアで友人と地質学の研究とそれをソフト化する会社を共同経営している。ある時、そのPCソフトの購入を検討しながら砂漠の鉱山見学に日本からタチバナ綱島郷太郎)がやって来る。

無理やりその現地案内役を押し付けられたサンディ、、彼女をまるで運転手のように扱い、その傲慢な女性に対する態度に二人の溝は広がるばかりでヒロミツの要求過多に怒り心頭のサンディだ。(この辺りの日本男児の描き方はワタシには耐えがたい)

4WDで砂漠へ分け入った時には、ヒロミツは不安でサンディと話すのではなく、日本の友人と国際電話で話してばかりいるのだ。反対するサンディを気にもかけず、ヒロミツは半ば強引に大陸内部の未開の砂漠ルートに車を向かわせるが、そこで最悪の事態が、、車は緩んだ地面に捕られ立ち往生してしまう。サンディはヒロミツの電話で助けを求めようとするが、ヒロミツはこれを拒否する。

車上で野宿した翌朝、ヒロミツは自分の責任を感じて早起きし、せっせと砂の上でも運転できるように木の枝を撒く。これが功を奏し、やっと車が雲泥から脱出に成功するがこのトラブルをきっかけに二人の距離は徐々に縮まりはじめる。

やがて互いに惹かれあい、その夜ベッドを共にするのだがサンディはヒロミツには日本に妻子がいることを知る。

翌日、サンディは近くの沼で泳ぐのだが浅瀬に注意を促す前にヒロミツが飛び込んでしまい行方がわからなくなる。サンディは半狂乱でヒロミツの名を呼ぶが、息をしていないヒロミツが浮かび上がる。彼の突然死にサンディはショックを受け、どうしたらよいのか判らず車に乗せたサンディは何時間も運転し近くの街まで行くのだが、、。

っとそんなお話し、ある意味ではラブストーリーなのだがその突然の愛、と同じく余りにも突然に訪れた彼の死、、どうにも見ている側には(特に日本男児には)理不尽なラブストーリーに思えてしまった、。しかしあれ程に高評価を得たんだからオレなんかには判らない良さがあったんだろうなぁ~、、あんな男子がステレオタイプの日本人だとは思われたくなかったな、、アホなヒロミツだよ。

 

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このお二人はオーストラリアの映画界では重鎮でかなり辛口で知られる評論家、マーガレット・ポメランツにデイビット・ストラットンだ。

ABCやSBSと放送局を何度か変わったが1986年から2004年くらいまで長い年月に渡り毎週30分番組を担当していた。二人の意見が合わず”論争”に発展する事も多々あったがそれが又、映画ファンには楽しみの一つ。ワタシは特にこのおっちゃんの解説が好きで彼が”GREATと言う映画はもう無条件で受け入れていた。☆☆☆☆☆の評価で5つが最高評価だった。確かこの映画にはお二人が☆☆☆☆、、と4つの大判振る舞いだった気がする。