”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ジャンヌ・ダルク”(99年)

英語の原題は”The Messenger: The Story of Joan of Arc”で英仏の合作、っで監督はルック・ベンソン、主演のジャンヌにミラ・ジョヴォビッチ、周りにはジョン・マルコビッチダスティン・ホフマンフェイ・ダナウェイと素晴らしい。過去には彼女を主人公にした映画、舞台、テレビシリーズ等々、が10回以上も制作されているし忘れちゃいけない日本じゃアニメにもヒロインとして登場しているのだ。

確かにキーワードは”悲劇の女剣士”、”フランスの英雄”、”美貌のヒーロー”、ともてはやされ恰好な題材としてこれまで色々な女優さんが演じている。最も実年齢僅か19歳で火炙りになっているのでフランス映画界でも若手の登竜門って事かも知れない、。

そんな悲劇のヒロイン+ルック・ベンソンとなりゃ見ないわけにはいかんだろう。そこで158分を覚悟してソファに陣取ったまでは良かったのだが、、途中舟を漕いじまって(僅か4~5分だが)中抜けしたがそれにしても”異状”にツマンネー映画だった。

恐らくベンソン監督はこれでとんでもない借金を抱えた事は間違いない。まあ20年経過しているのでもうすっかり返済は済んでいるんだろうが、、何せ90億円からの制作費を掛けた大作だったのに収益が世界レベルで24億円程度だったらしい、。

何処がダメなのかと言うとまず演出からしてガックリだった。ジャンヌ・ダルクは一説には信仰深く、毎日のように教会へ通い、挙句自身は神さまのお告げに従って行動していたらしい。両親と姉と暮らしていたがイギリス軍に侵攻され無残にも姉は惨殺、家も焼かれ幼年期は叔父の家で暮らしていたようだ。

 

 

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そんな背景なんだが彼女にインスピレーションを与える場面や妄想だか幻想だか自分にしか見えない場面が繰り返しカット割りで上映される。かなり戦闘場面はエグい場面もあるのだが特に彼女が強い訳でもないし胸に弓矢が刺さってもへっちゃらなのはもう神さまがお守りしているんじゃなかろうか?と勘違いしてしまう。

結局、ヒロインの座にいた期間は僅かでその後、フランス+イギリスの間でキャッチボールが如く幽閉されてしまう。まあこの辺りは史実に忠実って事なんだか見ている方は完全に中途半端状態、妙にジャンヌに肩入れするかと思うと今度は逆に宗教的な解釈が首をもたげて来る。結局、アクション映画に成りそこなった小娘の伝記映画ってところに落ち着いてしまうのだ。ルック・ベンソン監督としてはアクションにはキレがあるし見応えはあるのだがジャンヌの主義主張が尻切れトンボ、それに家族や姉の復讐劇でもなく主題はもっと大きくフランス国王へ捧げるって言われてもシャルル7世を演じた国王役のジョン・マルコビッチも困っただろうな、。

久し振りにBSNHKが放映した”がちょ~ん、な映画”だった。無理やり最後まで見てしまった事を後悔している。