”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ホテル・ムンバイ”(18年)

この映画はオーストラリア在住の頃、是非見たいと思ってたがそれっきりで忘れていた、、それがやっとJ:COMのオンデマンド有料配信で見る事が出来た。

背景は実際に08年11月に起きた”ムンバイ同時多発テロ”で事実に基づいて映画化された。ウィキにもその顛末が詳しく記載されているのだが襲撃はムンバイ市内の最も混雑する場所、10ヶ所が次々と襲われたもので最後に舞台になった”タージマハール・ホテル”はインド有数の高級ホテルとして世界に知られている。

このテロ襲撃で最終的には死者が174名にも上った凄惨な事件だった。当時オーストラリアでも大きく報道されその関心の高さは連日ネットで拡散される程で日本では想像を超えた関心度だった。

身重の妻と小さい娘がいるアルジュン(デヴ・パテル)は、インド・ムンバイの五つ星ホテル、タージマハルで、厳しいオベロイ料理長(アヌパム・カー)のもと給仕として働いていた。2008年11月26日、ホテルには生後間もない娘とシッターを同伴したアメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)や、ロシア人実業家のワシリー(ジェイソン・アイザックス)らが宿泊していた、、っとこれが冒頭の10分くらいで語られる。

 

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アメリカで作られるとこりゃもうナカトミ・ビルディングを背景にした”ダイ・ハード”になるのだがインドにはブルース・ウィリスはいないしジョン・マックリーン刑事みたいな不死身な活躍をホテルマンには期待出来ない、。

兎に角、凄まじい緊迫感満載の映画で決してアクション映画とは言えないが、、何故なら撃って来るのは一方的にテロの実行犯で撃ち返す客も従業員もいないのだ。この辺りは実に理不尽な残虐行為が延々と続く、。テロ組織は総勢10名だったがそのうち2名は駅の襲撃後に、捕獲されこのホテルへやって来たのは総勢6名程度じゃなかろうか?

そいつらがこりゃもう完全に首謀者(一切画面には出て来ず隣のパキスタンから指令を出している)の言いなりで撃ちまくるだけ、それもアッラーの神さまの思し召しと言うことで事の善悪は関係ないのだ。要するに残された家族や親兄弟にはたんまり報奨金が出ると言うだけで西洋文化に染まった人間を一人でも多く殺傷しろと洗脳されている。ロクに世の中の仕組みや他所には広い世界があるって事も知らずにテロの実行犯として片道切符を手にしてアッラーは全て、これで永遠に楽園に行けるんだ、、と信じ込んでいる殺し屋どもの行動は実に怖い。

そんなやるせないホテル占領場面を見事に見せてくれるのだが情け容赦なく銃を向けるその無知さ無能さ加減にはこれが現実で世の中のテロ組織はそうやって若い世代を洗脳していると思うと我々が住む資本主義世界は恐らく何時になっても勝てないだろう。

映画は終盤やっと長時間を掛けてインドの特殊部隊が駆け付けホテルに立てこもっている実行犯に対処する事になるのだがそれまでに何とも時間が掛かりすぎだ(14時間以上)。最寄りの警察署にはそんな特殊部隊は存在せず所轄の警官が駆け付けても機関銃には叶わないし軍隊の出動もない、この辺りは教訓になったのではないだろうか?

テルマン達が必死な思いで宿泊客を助ける為に敵に立ち向かうのだがこれはちょっと可哀想な設定だった。幾らお客様は神様だぁ~、、と言っても敵が機関銃じゃ相手にならないでしょ??オレだったら真っ先に逃げているだろうな、うん、それじゃあっちのセウォル号の船長と同じか??そりゃマズい、やっぱり最後まで残ってないと、。