”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”翼よ!あれが巴里の灯だ” (57年)

原題は”The Spirit of St. Louis”と言うのだが公開当時に付けられた邦題は”翼よ!あれが巴里の灯だ”と実に日本らしい素晴らしい邦題になっている。元より原作はリンドバーグ自身が書いた”冒険記”なんだがそれを直訳したんじゃ”セント・ルイス魂”、これじゃカージナルス(MLBの伝統あるチーム名でセント・ルイスが本拠地)のキャッチフレーズみたいになっちまうし、、。

 

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監督はビリー・ワイルダーで主演はジェームス・スチュワート、彼がチャールス・リンドバーグに扮して1927年5月20日にニューヨークを発ち翌21日にパリに到着するまでを描いた実録冒険談だ。映画の前半は1923年頃のチャールスが曲芸飛行やらで生計を立てている時代の説明、その後US郵便サービスとしてアメリカ国内で航空便設立に関わった経緯が語られ中盤になってやっとパリ行きの企画が持ち上がる。

もうこうなると画面に出て来るのはリンドバーグ=スチュワートだけの独壇場、トム・ハンクスがやはり無人島で一人出ずっぱりの活躍をした”キャスト・アウェイ”と同じ状態だった。

ジェームス・スチュワートはこの映画の前にも”グレン・ミラー物語”で実在のグレン・ミラーを演じているが此処でも”アメリカの良心”と呼称されるに相応しいアメリカン・ヒーローを演じている。生まれが1908年なので大活躍していたのは戦前だがそれでも何故か”名匠”と呼ばれる名監督に請われて多くの作品に出演している。

このビリー・ワイルダー監督もそうだがフランク・キャプラジョン・フォードアルフレッド・ヒッチコック、セシル・B・デミル、アンソニー・マン等々、、素晴らしい監督に呼ばれて多くの作品に出ているのだ。無論当時は唯一の娯楽と言えば映画館へ行く事だった訳で今とは状況は違うのだがそれにしてもこれだけ名作、秀作に出演している男優さんはそんなに沢山はいないぞ、。

個人的にはワタシが映画のドツボにハマってもがいている頃は既に彼方は50代の男盛り、記憶を辿ると53年の”グレン・ミラー物語”が恐らくリアルタイムだったか、、?うん、そんなハズはないか、、アレはリバイバル上映だったような、。何気なく入った築地の松竹セントラルが初対面だった。

それからは”裏窓”、”めまい”のヒッチコック作品、ジョン・フォード作品で”馬上の二人”、”リバティ・バランスを射った男”やらアンドリュー・マクラグレンの”シェナンドー河”、ロバート・アルドリッチ監督の”飛べ!フェニックス”等は実にスラスラと出て来る。何れも派手な活躍でシリーズ化されるような作品ではないのだが常にアメリカンの良心を演じ続けて来た、。

1997年に89歳で亡くなるまで49年に結婚したグロリア・マクリーンを生涯唯一の奥さんとして94年に彼女が亡くなるまで添い遂げた。実生活でもまさに一般のアメリカ人が羨む実直な生活振りだった様だ、、。