”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”リチャード・ジュエル” (19年)

クリント・イーストウッド御大が監督した最新作がやっと配信された、、しかし何故か先行版と評して2500円と表示されている。恐らくこれはずっと自分の所有物として保管出来るって事なんだろうがDVDのハードコピーをくれる訳じゃなしそんな需要があるんだろうか?それに配信がスタートして2週間程は吹替っきゃないのだ。字幕版はずっと遅れて配信された、、それもやっと550円で。

何となく世の中は何処へ行くにも全員マスク着用、洋画は全部吹替が主流になって行くようなイヤな予感がする。この最新版じゃなくても普通に配信される洋画でも(特にシリーズ化された番組)圧倒的に吹替だ、、技術的には字幕を付ける方が安くあがると思うのは素人の浅はかな考えか?

そしてこの気の毒なリチャード君、アトランタで開催されたオリンピックで実際に起きた爆弾テロ騒ぎがテーマなのでこれは記憶にある。実際にどうなったのかは記憶がないのだが、、。

イーストウッド監督は冒頭からかなり詳しくこのリチャードの人となりを紹介してくれる。配役されたのはポール・ウォルター・ハウザーと言う俳優さんだがこれまでマイナーな映画出演が多くワールドワイドに配給される映画に抜擢されたのは初めてだろう。実物のリチャードは知る由もないがかなり容貌は似ているんじゃ、、と推察される。そして彼の母親にはキャシー・ベイツが、、やはり巧い。

それと嫌味なFBI捜査員にはジョン・ハムそしてこれ又、いけ好かないレポーターで”同衾”してでもネタを取って来るのがオリビア・ウィルデ、、更には献身的にリチャードの弁護を引き受けるのがサム・ロックウェルだ(これは役得)。

 

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見ている側はこのリチャードの性格、趣味がしっかり判ってないと中盤からの展開が読めなくなる。早い話、警備員としてライブパフォーマンスの会場にいたリチャードが爆発物を発見、観客を避難させるのだが重傷者10名以上を出してしまう。でも彼の機転が無ければもっと被害が大きくなっていた訳で彼は一躍オリンピックを救ったヒーローに祭り上げられるのだが、、。

ところがFBIがしゃしゃり出て来て捜査が始まるとどうも当事者であるリチャードが怪しいのだ。彼の性格、素性はプロファイルに合致するしこれは自身をヒーローに据える為の売名行為じゃなかろうか、、と内部の捜査はおかしな方向へ、。

そんな状況になるが先のオリビア扮するレポーターは特ダネが欲しくてFBIの捜査員に色仕掛けで迫り内部じゃリチャードをほんぼしとして捜査対象にしていると呟くもんだから翌朝の新聞トップに彼への疑惑が掲載されてしまう。

見ている側は彼の無実は判っているのだがその後のFBIの捜査は実に惨めだ、本当の犯人を追うのは止めちまったのか?と思える程にリチャードに執心して行く、。やっと弁護士役でサム・ロックウェルが出て来て、辣腕弁護士らしい采配を振るい始める。

さて果たしてリチャードの無実は証明出来るのか?そして彼の嫌疑は、、と後半進んで行く。犯人捜しのミステリーって訳じゃないのだが実に丁寧にリチャードが置かれた”危うい立場”はどうなるのかに焦点が合わさっている。

最後に彼がFBIの捜査に協力すると言う趣旨から捜査会議で陳述する内容が実にこの現代にも生きている。それは”仮に我々のように警備に就いた人間が怪しいバッグや不信物などを見逃していたら被害は甚大なものになり死傷者は増えたんじゃないですか?”と述べる場面、それと母親が報道関係者を前にリチャードの人となりを語った場面、、このシークエンスにイーストウッド監督は全てを掛けていたんだろうな。

監督、又、やりましたぜ、☆☆☆☆でよござんすか?