監督はオーストラリア人のピーター・ウィアーで85年には”刑事ジョン・ブック目撃者”を撮っている。この映画はジム・キャリー、エド・ハリス等を迎えた秀作でちょっと忘れられがちだがゴールデン・グローブでは複数の部門で受賞しているしIMDbのランキングでも8.1と高評価だ。
98年に公開されているので既に携帯電話は実用化されていたが劇中全く出て来ない。コンピューター制御を酷使した舞台セットは現在でも充分使えるようなシステムだがその奇抜なアイデアはテレビ制作に携わっている人間には究極のドラマじゃなかろか?
早い話が全編”リアリティ番組”で24/7(24時間、週7日)放映されているオバケ番組がそのテーマである。主演の”トゥルーマン”に扮するジム・キャリーがおぎゃあと生まれたその時からずっとリアルタイムで追われている番組って事になっている。
膨大な広さのスタジオに街並みセットを作り多くのエキストラがごく自然に毎日を過ごしている、その中で働いているトゥルーマンだけがそんな内情を知らずに演技じゃない普通の生活を送っている訳だがある日、ひょんな事から自分は監視されているんじゃなかろうかと気付く、。
番組のブロデューサーがクリストフ(E・ハリス)だがもう30年、トゥルーマンをメインキャストに据え番組を世界中に配信している。そんなかごの鳥状態に置かれた彼が自由の世界を目指すのが本筋だがそこはジム・キャリーが深刻にならずかと言ってお笑いに徹する訳じゃなく番組の見世物から脱皮する様子が清々しいのだ。
知らないうちに個人の生活が番組になり配信されているって事は放送倫理にも劣るし現実にはあり得ない設定だが作る側も見る側もこれ程”真実”に近い番組なんてのはある訳はない。番組に登場して来る実際の商品がそのままスポンサーの提供でまさにプロダクトリプレイスメント方式(商品提示)になっている。
奇想天外に未来や過去へ行ったり来たりもあるしコスプレもどきの映画だってある。ジイさんに生まれて年々若返って最後は赤ん坊になって息をひき取るって映画だってあるんだしあながちこの”若者のすべて”を収録して放映するなんてのはそんなに荒唐無稽でもなさそうだ、、。