”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

“野のユリ”(63年)

始めてこの映画、”Lilies Of The Field” を見たのはブロンクスの地下鉄高架下238丁目付近にあった映画館、(ポパイ刑事が”フレンチ・コネション”で殺し屋を追い詰めたカーチェイス場面はブルックリンだがアレと全く同じ背景)で入場料は1ドルだった(当時は1ドル=360円を越していた)。

映画館の表に掲示されていたポスターを頼りに入ったが字幕が出る訳じゃなしその内容はチンプンカンプンだった、、それでもシドニー・ポワティエ演じる風来坊ホーマーがある日、教会に立ち寄り其処に居住している尼さんグループと一緒になって教会を建て直す事に手を貸すようになる。っと言う感動編だった事はしっかりと記憶に残った。

58年のスタンリー・クレーマー監督作品、”手錠のままの脱獄”ではトニー・カーチスと組み手錠に繋がれたまま脱走する社会派作品で脚光を浴びていた事は知っていたがこの”野のユリ”では実に魅力的な好青年役だった。見終わって実に清々しい気分になれた秀作だ。セリフは判らなくても感動出来ると言う好例じゃなかろうか?

 

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風の吹くまま足の向くままのお気軽生活が一転、ひょんな事から尼さんグループと一緒になって汗を流し、一生懸命に一つの目的に向かって力を合わせる、、こりゃもうセリフが判らなくてもスクリーンを見てりゃナニがどうなってどうなるんだか一目瞭然、最後まで楽しめた。この映画の直前にレスリー・キャロンの”L字型の部屋”ちゅうのをこの近所の映画館で見ているがこっちは何が何だかサッパリ判らなかった。

後年になってこの手の風来坊が突然現れて店なり農場なりを手伝って又、去っていく方式の映画は割と多い事に気付かされた、、典型的なものでは”シェーン”がそうだし団体さんだと”荒野の七人”もそうだ、、日本じゃそれがラーメン屋だったりするが高倉健さんにもこんな映画が多かったような?

 

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やはりこれも後年になって知ったがこのタイトルの意味、、それは;

映画のタイトル『野のユリ』の由来は新約聖書マタイ伝6章28節にある「野のゆりがどのように育つかをよく見なさい。ほねおることも、紡ぐこともしない。あなたがたに言っておく。栄華をきわめたソロモン王でさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。という、イエスが「思い煩ってはならない」ことのたとえとして語ったことばによる。

映画の序盤で、賃金の支払いを求めるホーマーにマリア院長が、新約聖書のこの箇所を引き合いに出し、支払いを渋るシーンがある。byウィキ

これを知ったのは半世紀以上を経てつい最近だ、、ガキの頃じゃ其処までは知らないよな?野原にユリが咲いているってだけじゃないのだ。