アイルランドを舞台にした映画やTVドラマは珍しい、普通はBBCが制作に関与するとイギリスの片田舎とか最近のロンドンが舞台と相場は決まっているのだがアイルランドと言えばダブリンがメイン舞台じゃなかろうか？
最も日本へ入って来ず現地で放映されてそのままお蔵入りってのも多い筈だ。同様にオーストラリアって国もしかり、これまで色々な映画やドラマが制作されているのだがイギリス産をそのまま持って来て放映した方が手っ取り早いしそりゃ日本とは比較にならない程に多くのファンがいる。それにどうもこれは国民性の違いなんだがストライクゾーンがワタシの好みと違って犯罪モノはツマンネーのだ、。
そんな背景でやっと先日放映されたシリーズ８話もあった”ダブリン悪意の森”ってのを見終わった。８本も見て期待してた程の出来じゃないのが残念だったが何とか完走した。しかし全編暗くて最後はそりゃ衝撃的な終わり方だがどうにも長くて、やるせない不完全燃焼を起こさせるクライム・ミステリーでこっちまで意気消沈してしまった、。
ダブリンと言えば以前すっかりお気に入りになった私立探偵モノがあった、。主演はイアン・グレンと言う俳優でこれはかなりビシリと決まったストライク、ド真ん中だった。タイトルは”私立探偵 ジャック・テイラー”でこんなお話、、；
演じるのはイアン・グレンと言うスコットランド人、芸暦は長くもっぱらＴＶ出演が多いのだが６１年生まれの５２歳。それがアメリカでも近年お目にかかれないほどのハード・ボイルド（余りの硬さに”ド”をもう一つ付けたい）な探偵を演じている。
アンジョリーナの”トゥーム・レイダー”や”鉄の女、（マーガレットサッチャー）”にも出演していたがこんな主役は初めて見る。原作があるのだがＴＶシリーズとして２時間枠で制作されている。
舞台は寒そうなアイルランド、最初の”Ｔｈｅ Ｇｕａｒｄｓ”と言うエピソードでは警察勤務のジャックが大物政治家を殴ってしまい更迭、しがない街の探偵として生計を立てて行くところから始まる。
折りしも街では失踪した少女が遺体で発見される事件が連続して起きている。そんなところへ魅力的な婦人がジャックを訪ねて来る。此処までは良くありそうな私立探偵物語、、別に目新しい展開ではないのだが、、この寒そうなアイルランド、多分ダブリンだと思うのだが港町の中心部、繁華街がとっても魅力的に描かれている。
何せジャックは警察を首になり昼間っからウィスキーのお世話になっているし口は悪く喧嘩早い、そのジャックや周辺の登場人物、お話の展開がこれまたハード・ボイルドだ、、じゃ一体ハード・ボイルドとは何か？このジャックを分析すると全く自分の柔い感情は持ち合わせておらず何をするにも”硬派”一徹、尋問だって単刀直入だし、相手を気遣うような気振りは一切ない、、、女性に対しても言い寄る事は皆無、向こうから来れば拒まない、、と言う徹底振りである。これがハード・ボイルドと言う感じだろうか、そんな性格と背景を引っさげて先の魅力的なご婦人が自分の娘を探して欲しいと訪ねて来るのが発端。
失踪少女の死体が発見される事からこの人探しの依頼を受けた少女もあるいは、、と思わせながらお話が進んでいく。ジャックはつい先日まで警察に所属していたので署長には疎まれるが同僚だった女性警官の協力も得て徐々に核心に迫っていく、、、と言う展開なのだがニューヨークやロンドンと言う大都会と違い狭い街での捜査活動、それでも何処にでも悪いヤツはいるし犯罪組織も出来上がっている、、街並みやアイルランドの風景、これは過去にも余りなかったかな、そんなのを充分楽しめる私立探偵ものと言えば良いかな、。
主人公の世代に合わせた制作なので流行そうな主題歌もそれなりのファッションも何もないがそれがかえって真実味を増している。最後はコソボでの戦争犯罪まで登場して来るがしっかり２時間、ハードにはまったジャック・テイラーでした。シリーズ化されていてＦＯＸで順次放映されるらしい、、実際には３年前にシリーズ化された作品だがジャックを演じているイアン・グレンがなかなかハードでチャンドラーを初めとするアメリカ版”ＰＩ”とは一味も二味も違う魅力的な私立探偵像を描いている。 難点は台詞がアイルランド訛りなので聞き取りにくい、。
っと言うお話なんだがこれが妙にワタシの愛するアメリカは東海岸の田舎町で警察署長さんを演じている”ジェッシー・ストーン”シリーズのトム・セレックに似ているのだ。キャラクターもそうだが元刑事でアルコール依存度が高いと言う設定まで一緒、しかも離婚経験者で妙に情に弱い、、それって日本人の専売特許じゃなかったのか？
