”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”白鯨”(56年)

原題は”Moby Dick”、制作されたのは1956年で主演のエイハブ船長を演じたのがグレゴリー・ペックだった。彼が当時40歳の頃で原作はハーマン・メルビルの冒険小説、それをワーナーブラザースが制作し監督兼出演にジョン・ヒューストンが抜擢され、その他の配役陣にはオーソン・ウェルズやレオ・ゲン、リチャード・ベイスハートも居たのだ。

背景になっているのは1841年のアメリカは東部の海岸線、ナンタケットの漁港で物語は乗組員、イシュメール(リチャード・ベイスハート)の語りで始まる。その港には捕鯨船が停泊中で船長はエイハブ船長(G・ペック)が居る。エイハブは以前の出航でクジラに片足を食いちぎられその復讐に”モビーディック”と呼ばれる白いクジラを追う事に執念を燃やしている。

 

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そんな出だしだがこれが実におっかない設定だ。無論当時はCGも何もあったもんじゃないのだがコツコツと足音を響かせてエイハブ船長がやって来るだけで不気味な雰囲気が画面いっぱいに広がる。リアルタイムで見た訳じゃないのだが、、うん、待てよ日本公開が58~59年だったとすればオレは築地の東劇の一階席に座っていたんだ。

かなり怖い設定だった事は鮮明に覚えている。物語はそのイシュメールの語りと共に船は外洋へ出て行きエイハブ船長は捕鯨する前にその白鯨だけを追って仲間と船を危険な道へ導いていく、そんなストーリーだ。

後年、邦題は”白鯨との闘い”(16年)としてロン・ハワードが監督になりクリス・へムズワース主演でリメイクされている。これはもうCG満載で素晴らしい映像だったがやっぱりグレゴリー・ペックのエイハブ船長は超えられなかった。映像だけじゃなくて原作を生かした船長の執念や彼の生き様、そしてクジラに対する愛情に近い復讐心、これは残念ながらクリスじゃ無理だった。

しかしこの時代のアメリ捕鯨船、彼らはクジラの油を抽出するだけで多くの部位は破棄処分されていた。一方の日本じゃ油は勿論だがそのヒゲから尻尾、、内臓に肉の部位まで一切無駄にはしていない。何と言っても我ら世代じゃ貴重なたんぱく源として給食にも登場してた。世界各国で同様にたんぱく源の主食として食べていたなんて話は聞いたことがない、、そんな事はグリーンピース活動の皆さん重々ご承知なんだろうな?