”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”運び屋”(18年)

札幌市内の映画館へ行った時は誰もマスクはしてなかったし館内はシニア連中で満席だった。それから僅かの間に”札幌雪まつり”があり何処からともなくヘンテコな風邪に似た症状のウィルスが流行しているらしい、との報道が。道内への観光客を入れないようにするとかしないとか言っている間にコロナが大流行してしまいそれからもう2年が経過する。

先日の桜が満開だった時も外出自粛要請、そしてこの5月の連休は映画館も敢え無く閉館、知事さんも市長さんも”どうか出掛けないで下さい”と声を枯らしているのだが、遂には昨日はこれまでの感染者記録を越してしまい街は映画館どころかホテルからレストランを始め時短になったり自粛して休業したりと散々だ。

これはそんな状況になる前に見た最後の映画だったかも知れない。監督そして主演はクリント・イーストウッドで実話に基づいた麻薬の運び屋を演じている。原題は”The Mule"でイーストウッドは90歳になる退役軍人役でアール爺さんを演じている。

口八丁手八丁のアールは女性陣に人気がある。シカゴの郊外で園芸店をやっていて自分の娘の結婚式にも忘れて行かなかった程のズボラ爺さんだ。何時か妻とも別れ、家族とも疎遠に、それなりに自分の店をやっていたのだが12年後、大手のショッピングセンターが近所に出来た事からちっこい店は敢え無くダウン、銀行の手に渡ってしまう。

そうなると文無しジジイには魅力もなにも残らない、そこで若いワルそうな知人に誘われるままに遥々テキサスまで”中身の判らないモノ”を運ぶ仕事を請け負ってしまう。お金目当てで引き受けた仕事で一回だけよ、と言ってたハズなのにこれが実に実入りが良い。一回のテキサス行きで数千ドルになる、そんなで気が付けば新車を買い、抵当に入っていた自宅も取り戻し完全にこれがアールの正業となってしまう。

テキサスの国境警備も厳しいのだがアールのような年食った爺さんで前科がなく慎重な運転振りなら怪しまれる事はない、。カルテルのオヤブンもそれに気をよくしてアールを運び屋として重宝がる。っとそんなお話でアメリカ側の薬物捜査官にはブラッドリー・クーパーが、そして麻薬カルテルの親分にアンディ・ガルシアが扮している。

途中のダイナーで食事中に知り合ったコリン(B・クーパー)や彼の上司、ウォーレン(ローレンス・フィッシュバーン)とのやり取りは痛快だ。アールは別に悪いことをしている認識はないので至極まともなやり取りを、、コリンだってまさかこの爺さんが運び屋だとは夢にも思わない、そんな中で互いに腹の探り合いをしている訳じゃないのだが妙に話が噛み合っている。

 

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元ネタになったのはレオ・シャープと言う人の伝記だそうで此方は第二次世界大戦時に兵役に就きイタリア戦線に派遣されていたようだ。退役後ミシガン州に大きな農地を持ち実際に2009年から11年にかけて1400ポンド以上のコカイン等麻薬を運んでいたと記述されている。そして2016年、92歳で死去、晩年に逮捕されているが実際に塀の向こうへ行っていたのかどうかは不明だ。