この映画に関してはチョイと動機が不鮮明なのだが元ネタは例の”ダ・ヴィンチ・コード”で原作を書いたダン・ブラウンが続編を完成させた際に全世界で一斉に発売する為に複数の翻訳家を隔離し外部とは一切遮断したうえで色々な言語の翻訳家を集めて秘密裏に翻訳をやり遂げたエピソードから来ている。
映画では出版されるミステリー本のタイトルが”デダリュス”となっているが出版社の社長の提案でその続編を翻訳する為に9人の専門家が各地から集められる。彼らは厳格に管理された地下の部屋へ招かれ毎日20ページを渡され決められた時間内に翻訳に励む訳だがある日その出版社のエリック(ランベール・ウィルソン)へ500万ユーロを払え、さもなくば毎日100ページづつ原作をネットへ流出させるぞ、、とおっかない脅迫状が届く。
即ちその犯人はこの9人の中にいる訳でさあ誰がやっているんだぁ~、、とアガサ・クリスティ風の密室犯罪と見間違う展開になって来る。9人の中で判るのはオルガ・キュレンコくらいだったがどうやらフランス+ベルギーの合作らしい。
余談だが此処でも集められた9人の翻訳家には日本人はいない、、やはりこんな現場でも日本人の活字離れが検証出来て個人的にはガックリしちまった、、。その翻訳家たちはスペイン語、デンマーク語、イタリア語、中国語、ドイツ語、ポルトガル語、ギリシャ語、ロシア語、そして英語なんだが原作はどうもフランス語で書かれているようだ。
デンマークやポルトガルより断然日本人の方が多いし外国の文庫だってそれなりに売れないのかな?この辺は恐らく映画化に際して”天使と悪魔”の販売実績をしっかり検証していると思うのだが、、日本はトップテンにも入ってないと思うと実に残念だ。
まあそんなで中盤は9人のうち漏洩したのは誰、、第一スマホも取り上げられネットも使えない隔離された部屋なので外部とは連絡の方法もない、、そんな環境で皆さんが疑心暗鬼になって行く。そしていよいよ時間が迫りエリックは犯人捜しより金を用意しないといかん、。ハラハラドキドキには至らないがその辺りから徐々にこの計画の全体像が見ている側にも判って来るのだ、。
でも時系列で説明される訳じゃないので冒頭の火事騒ぎになったり本当の執筆者が誰で何故顔を出さないのか、又、9人のうち何人かは事前に関わっていた様子があってお話が前後する。こうなって来るとオレの頭じゃもう一度見ないとちゃんと理解出来てないような気がする、。本編はフランス語が主体だがちゃんと日本語の字幕は出ている、それでも何となく舟に乗り遅れている気分で気が付いたらもうクライマックスだった、。
なかなか意表をつくお話で犯罪映画と言う訳じゃないが最後には刑務所へ入る人間が出て来てしまう。でも本当にダン・ブラウンの続編、”天使と悪魔”を翻訳する時はそんなに大変だったんだろうか??確かにネットにでも先行流出してしまえばハードカバーの原書は売れなくなる気はするが、、。