”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ハンニバル”(01年)

原作を書いたトーマス・ハリスは時系列で行けば最初に”レッド・ドラゴン”(81年)を書いている。その後、”羊たちの沈黙”(88年)、”ハンニバル”(99年)、そして”ハンニバル・ライジング”(06年)と続いた。

でも映画化に際しては最初に”羊たちの沈黙”、”ハンニバル”、”レッド・ドラゴン”、”ハンニバルライジンズ”となっているのだが物語の順序からいくとこの4作目がハンニバル・レクターの幼少期を描いていて本来は最初に語られるべきものだ。何と言っても驚くのはハンニバルの叔父の妻がレディ・ムラサキと言う日本人女性なのだ。

 

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でもまあ最初に書いた原作、そして映画化も大ヒットして世界各国から賞賛されたのが”羊たちの沈黙”だったのでストーリーは恐らく後付けで構想が練られたんだと思う。続編としての良さはあるし何せ監督がリドリー・スコットだ。でもやはりこの続編はかなり怪奇的で映画化には無理じゃないか、、と思える描写があった。それに肝心のクラリス役をジョディ・フォスターが降りてしまい代わりにジュリアン・ムーアが抜擢されている。かなり当初は印象が違うな、とは思ったもんだが再見してみればジュリアンでも充分良かったんじゃないだろうか?

主人公のハンニバルはそりゃアンソニー・ホプキンズっきゃ出来ないしこの映画でも実に不気味で頭脳明晰振りを見せてくれるのだが興行成績、それに映画としての評価は第一作を超える事はなかった。

羊たちの沈黙”では終盤、クラリスと電話で話した後に飛行機に搭乗する様子がありどうやら背景は南米らしかった、、それがこの続編では捜査網を逃れてイタリアに住んでいる所から幕開けだ。まず中心になるのがアメリカの富豪、メイソン・ヴァージャー(ゲイリー・オールドマン)で彼は小児愛者で以前精神科医レクター博士から治療を受けていたが大型に飼育された”野豚”のエサとして檻に放り込まれ車椅子生活、しかも全身マヒと言う障害を負わされている。とてもメイクからゲイリー・オールドマンだとは気が付かないし声だってかなり違うような、、。

そのメイソンは、ハンニバルが憎くて何とか消息を掴み復讐したい一心でFBIに自身の影響力を駆使して再度クラリスを捜査の一員に戻し彼女を監視する事でハンニバルが現れる事を待ち構えている。

その他の配役にはクラリスを良く思わない司法局のポール(レイ・リオッタ)やイタリアはフィレンツェの刑事、バッツイ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)等が出て来るが誰もハンニバルには太刀打ち出来るもんじゃない、、トーマス・ハリスが描くところのクラスへのハンニバルの純愛心があるのだ。

案の定、映画は公開時にR-15指定になり、、オーストラリアでもR指定だったようにかなりキツイ描写が続く。まあ原作がそうなっているんだからリドリー監督と言え従わないといかんかった?前作の”羊”には及ばないがハンニバルの異様な趣味とその怪奇振りは見事に再現されている。まあしかしFBIの監視下、どんな手法でそう簡単に飛行機に乗って他の国へ行き来が出来るのか?これは最後までオレに付いて回った不思議だ。