”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”シンプル・プラン”(98年)

これはかなり面白い犯罪ものでサム・ライミ監督の力量が充分に生かされている。映画の雰囲気は同系列でやはり秀作だった”ファーゴ”を思い起こすミステリーで同じような雪に閉ざされたミネソタの片田舎が舞台だが此方は犯罪に関しては全く素人の善良な3人が思いがけなく立案した”シンプル・プラン”に翻弄され最後は立派な犯罪者として終わる、、と言うどうにもやり切れないエンディングになっている。

 

 

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元ネタの原作はスコット・スミスと言う作家が93年に発表した同名の長編小説で映画化に際してはピル・パクストン、ビリー・ボブ・ソーントン、そしてブリジット・フォンダ等が配役されている。ハンク(B・パクストン)とジェイコブ(B・B・ソーントン)は兄弟でハンクは町の肥料販売会社に勤めている。奥さんのサラ(B・フォンダ)は臨月でもうすぐ生まれて来る赤ん坊と3人での生活を待ちわびている。

ジェイコブとその友人のルーは無職で借金まみれ、。ある日、その3人が吊るんで出掛けた帰り道、国道から外れた場所で雪に埋もれた小型機が墜落しているのを見つける。パイロットは既に死亡していたが傍にあったバッグには450万ドル(4.6億円)もの現金が残されている。其処からこの普段は仲の良かった3人組の悲劇が始まる、。

彼らには最寄りの警察署へ届ける意思は全くなく全額ネコババしようとする、、恐らく麻薬取引絡みや何らかの犯罪に関係していると推察されるし持ち主が取り返しに来るとは誰も思わないのだ、。

そんなでほとぼりが冷めるまでハンクが管理する事になるのだが、、誰にもこの秘密は洩らさない、と互いに誓ったにも関わらずハンクは自宅へ帰るなりサラにこの顛末を打ち明けてしまう。更に借金まみれのジェイコブやルーはちょっとでも良いから都合してくれ、、とハンクを脅しにかかる、。3人が夫々問題を抱えているのだが夫々に主張し始め最初に約束した”シンプル・プラン”がどんどん複雑化してしまうのだ。

当初はごく簡単な計画だったのが一人殺し、更にそれを隠蔽する為に別の殺しを犯す事になりどんどん深みへ、、そしてある日サラがパートで働く図書館で思いがけない新聞記事を見つける。

それには450万ドルの身代金を積んだ小型機が行方不明で誘拐された少女は死体で発見、しかし共謀者もパイロットも存在が不明、と書かれている。サラはこの現金はその時の身代金で運搬中に墜落したようだと推理するそして今度はハンクをそそのかし自分たちがその大金をせ占めてしまおうと計画する。

此処まで来ると痛快な犯罪モノではなくて暗くて陰鬱な計画に向かってしまうが遂に町の保安官がFBIの担当官を連れてハンクを訪ねてやって来る。新聞写真に載っていた誘拐犯人の写真がそのFBIの担当官に成りすましていると気が付いたサラは保安官とその担当官に帯同して以前道路脇に立っていた3人のうち飛行機の墜落した箇所を隠すのに思わずジェイコブが漏らした”飛行機のエンジン音がした”と余計な事を口走った場所へ案内するように言われる、。

一つのひょっとした事が次に繋がって行き最終的には嘘がどんどん大きくなってしまい収拾がつかないって事になるのだが人間の欲を見事に描いた秀作と言っても良いのではないだろうか?ネコババしてそのままひっそりと人知れず何処かへ越してしまうか現金をうず高く積むだけで満足するかして居れば誰も死ぬことはないのだよ、。

 

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さてオレだったらどうするか?①そのまま警察署所轄へ届ける、②全額持って帰る、③札幌を引き払って世界中を回る旅に出る、④家内に半分渡して若い女性と再婚する、、⑤老人ホームをそっくり買う、、⑥動物愛護協会に寄付する、、さあ今夜ゆっくり考えるとするか?(笑)。