1974年にパリで実際に起きたテロ爆破事件の首謀者、カルロスを捕まえようと試みるCIAと協力するイスラエルのモサド、双方の責任者にドナルド・サザーランドとベン・キングスレイが扮し奇想天外な隠密作戦を実行するアクション映画だった。
まあしかし原題は”The Assignment"、その発音は”アサイメント”なんだがカタカナ化にしても日本式読み方で邦題になっている。それってKevin Costnerを以前は”コストナー”と表記していたのと同じじゃなかろうか?
主役のアニバル・ラミレスは海軍の将校で演じるのはエイダン・クイン、何と彼がテロ犯のカルロスとそっくりで瓜二つな顔をしている事からカルロス捕獲作戦に抜擢され厳しいトレーニングを経てロンドン、パリ、シリアを舞台に捕獲作戦に従事する。
と言っても実際に彼がカルロスやテロ組織と対峙する訳じゃなく巧妙な罠を仕掛けロシアのKGBやドイツの諜報機関に狙わせて抹殺させようとする隠密作戦になっている。
資金調達に関与しているのが西側のCIAだと思わせカルロスは秘密裏に寝返っていると思わせる事がアニバルの任務で前半はカナダに近い寒冷地でドナルド&ベンの監督下厳しきトレーニングに耐える場面が続く。なかなか構想は良いし納得出来る作戦だ、自国が手を下さずとも他所の諜報機関に裏切り者として始末させる、、最初は嫌がっていたアニバルだが次第にこの作戦実行に賭けるようになる。
但し、カルロスに成りすまして冷酷な性格そのままに演じていると何時しかその悪人性が自身に沁み込んでしまい自分でも思いがけない反応を起こしている。完璧にカルロスに成りきろうとすればするほど殺人も平気になるし癇癪を起し、女性への対応も野蛮になって行くのだ。
そんなアニバルの苦悩が後半は見どころで、さて最終的にはホンモノのカルロスを追い詰める事が出来るのか、。それをCIAやモサドは容認しどんな結末に進むのか、最後まで緊迫感がある”B級”ながらそれなりに魅せてくれた。最後のクライマックスは見ている方だってどっちがアニバルでどっちがカルロスか判らなかった。