”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

スパイ小説作家、ジョン・ル・カレ

1931にイギリスで生まれたDavid John Moore Cornwell(本名)は63年に初めてスパイの長編小説を書き上げた。その二年前にジョン・ル・カレと言う作家名で書いた”死者にかかってきた電話”が本当のデビュー作だが63年の”寒い国から帰ったスパイ”が大ベストセラーになってしまい二作目が処女作とされているのだ。

2020年に89歳で亡くなるまでに多くのスパイ小説を書いているのだが映画化、テレビでのシリーズ化された作品は半端なく多い事でも知られている。

以下の作品群は何れも映画化され上々の評価を得ているのだが中でも”寒い国から帰ったスパイ”(リチャード・バートン主演)、”ロシア・ハウス”(ショーン・コネリー主演)、”裏切りのサーカス”(ゲイリー・オールドマン主演)、”誰よりも狙われた男”(フィリップ・シーモア・ホフマン)はダントツで秀作だった。

 

 

 

此方の作品群はテレビでミニ・シリーズ化されたものだが”ナイト・マネージャー”はトム・ヒドルストンが主役でこれが又、素晴らしいスパイドラマになっていた。

 

思えばアメリカの作家にもスパイものを書く人は居るが原点がCIAになってしまい英ソの情報合戦とは作風がかなり違っている。

突出して素晴らしと思うスパイ映画は”ミッション・インポッシブル”、(TVでシリーズ化されていたオリジナルの原案はアメリカVSヨーロッパ諸国の構図)で派手な立ち回りは一切なかった。

仮想敵国はソ連を始めとするヨーロッパの小国だが敵同士の対立を企てIMF(架空のスパイ組織)では直接手を下す事無く敵同士が共倒れする作戦を実施するのが本筋だった。そして映画化された中でもずば抜けた秀作は”スパイ・ゲーム”(ロバート・レッドフォードブラッド・ピット主演)だが元ネタになっている原作はないのだ。

なのでアメリカには本来は地味であろう筈のスパイの活躍を描いた長編小説は少ないのだ。どうしてもトム・クランシーとかが描くところのスパイ=CIAの活躍が主体で派手な作風に終始しているような気がする。

 

 

イアン・フレミングが描くところのジェームス・ボンドはその点アメリカ受けする派手さが売りだったんだろうか?何れにせよこのお二人は実際にイギリス情報部に勤務されていたので守秘義務を放り出して作家として自分が多少なりとも関わっていた事件や逸話を元ネタにしていた事は間違いない、。