”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”優駿 Oracion” (88年)

サラブレッドのスーパーヒーローを迎えて語られる感動巨編、人馬一体となった感動のドラマ、、果たしてヒーローは勝てるのか?”と書かれていて解説には、、;

一頭のサラブレッドをめぐる牧場主や馬主、調教師、厩務員、騎手などさまざまな人人の生き様を描く。宮本輝原作の同名小説の映画化で、脚本はTV「ここの岸より」の池端俊策が執筆。監督はこれが第一作となるTV「北の国から」の杉田成道、撮影は「密約 外務省機密漏洩事件」の斎藤孝雄がそれぞれ担当。

 

っと来りゃ競馬ファンじゃなくても気になるしその感動とやらを味わってみようとHNKBSにチャンネルを合わせちまった。

配役は北海道の馬の生産牧場主に(当然のように)緒形拳、そして一人息子には緒方直人(親子共演)、そして生まれたての仔馬を3000万円で買う社長さんが仲代達矢、その娘に斉藤由貴、腹違いの弟に吉岡秀隆、更には加賀まりこ三木のり平平幹二郎やら石坂浩二田中邦衛(北海道が舞台のこんな映画には欠かせない)、等で配役陣はまあチョイ役でも凄い事になっていた。30年以上も前の映画なのでこれならオレでも全員の名前と顔が一致するわな、。

物語りは冒頭、北海道の牧場で仔馬が誕生するところから始まる。そしてその仔馬を買い付けるのが仲代達矢社長、、でもどうやら会社の経営状態が悪くて大手に吸収合併を持ち掛けられているらしい、、それなのにいきなり3千万円の出費かい?

更に不可解なのは買ったばかりの馬を娘の名義にしてしまい、。そりゃ会社が万が一の場合は会社保有とは一線を画して置こうと言う魂胆は判るが何の説明もないのだ。それからもっとヘンテコな事にこの社長には正妻さんの他に産ませた息子がいる、そしてその息子は肝移植をしないと余命がいくばくもないらしい、。実の父親からの臓器移植じゃないとダメなので加賀まりこが一生懸命頼み込むのだが全く聞く耳を持たず、。

そんな出来事の最中、何故か仔馬を相続した一人娘が急接近でその弟(吉岡秀隆)と妙に親しくなっている。そしてあろう事かその仔馬の譲渡契約を勝手に結んでしまい何れ弟に譲るって事になってしまう。

そりゃ多少仔馬のトレーニング風景はあるし周りの関係者に見守られ大切にされて行くのだが、、しかしもっと不可解な事件が起きる。それはその大切な仔馬を茨城の厩舎へ届けるのにプロの運搬会社を使わずに息子の緒方直人が一人トレーラーを長距離運転して行くのだ。

そして事故、、オラシオンと名付けられた大事な馬の脚に怪我を負わせてしまう。もうそんな普通じゃ考えられないようなツッコミどころが満載でハラハラするより見ている側は”こりゃおかしいよ”、となってしまう。何処にも感動の”か”の字も出て来ない。中盤の斉藤由貴吉岡秀隆の逸話が実に長く、かと言って父親を説得させようとしたり母親が出しゃばって来る場面もありゃしないのだ。

どうもコレは原作だけにして置けば良かったんだろうか、、余りに欲張って素晴らしい配役陣を使っているが為に話があっちへこっちへと右往左往するばかりでちっとも関係者一同がレースに勝てるような名馬にしようと努力する場面が欠落している。

もっと一同が必死になって強い競走馬にして行く苦労、絆、馬を愛する気持ちが出て来ないので感動なんかしたくても出来やしない、。期待したオレが悪かった??