”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”クライ・マッチョ” (21年)

監督、制作そして主演と三役に活躍したクリント・イーストウッド御大の作品で元ネタはリチャード・ナッシュが71年に執筆、出版した小説が原作だ。面白いのはそのナッシュ氏、自分から映画化を制作会社へ持ち込んだものの却下されてしまい今度はタイトルに”クライ(Cry)”をくっ付けて書き直した。

その結果、やっとワーナーブラザースが映画化を承諾したものの今度は主役の人選が難航、、1988年にクリント・イーストウッドが打診されたが”オレにはこの役は若過ぎる”って理由で断られ代わりにロイ・シェイダーを主役に据えて撮影をメキシコでスタートしたものの途中で頓挫してしまった。

 

 

そして時間は経過し2011年になってシュワルツネッガー、ピアース・ブロスナン等が主役候補に挙がったようだがそれでも映画化の企画は頓挫、結局2020年になってやっとこさイーストウッド御大が乗り出して来て監督、制作、主演で作られる事になった。まあ映画を見終わって受けた印象としてはそれまでして作りたかったお話なんだろうか、、とちょっと不思議な気もしたがクリント・イーストウッドの集大成作品はこれから先、もうそんなに多くは見られないしコレは見過ごしている訳にはいかない。

時代背景は1978年になっているがマイク・マイロ(C・イーストウッド)はかつては花形のロデオスターだったが今は馬の調教師として身軽な独り住まいだ。そのマイロが公私で世話になったハワードからメキシコへ逃げた母親の元から自分のティーンエージャーの息子を連れ戻して来てくれ、と言う依頼を受ける。

断れないマイロは一路メキシコへ向かいその母親の元を訪ねるのだが、、。そんな出だしで映画が始まる。割と簡単に母親が見つかりしかもその子供も町の養鶏場賭博に居る事も判って難なくそのラフォにも会う事が出来る。何となく拍子抜けする出会いでしかもラフォは最初は抵抗するのだが父親が牧場主で金持ちだ、と聞くとすっかりその気になりマイクと一緒にテキサスへ向かう事を承諾してしまう。

こりゃ中盤からナニかよからぬ事に出くわしそうだな、と思いきや母親が尾行しろと命令したチンピラ達も別にどうって事もなくその母親だって豪勢な暮らしぶりだが犯罪に手を染めている訳でも無さそうだしスムースにテキサスへの帰路についてしまう。

途中でクルマを盗まれて止む無く途中の村に滞在する事になったりはするが基本的にはそのマイロとラフォの(爺とひ孫?)交流がロードムービー風に描かれていて映画は淡々と進んで行く。

その村に滞在している二週間だかの間に親切に食事と宿を提供してくれたマルタとはマイロも互いに惹かれるしテキサスへ行ってからの将来を思い、その村の農場で馬の世話をしながラフォに乗馬や牧場での仕事を伝授したりと大分余計な時間は掛かるがその辺りの交流がこの映画の主題になっている。

映画のタイトルになっている”マッチョ”とは本来はムキムキ男の総称で強いオトコなんだが此処ではラフォが大切にしているニワトリの名前である。闘鶏所では別格に強く、連戦連勝でラフォのペット兼収入源でもある。それが”Cry”って事は”泣け”なのか”戦え”なのか最後まで不明だったがエンディングではその大事な”Macho”をマイクへ差し出してコイツを大切にしてくれ、、と言い残し、父親の待つテキサス側の国境へ入って行く場面で終わる。