五味川順平の”人間の条件”、の原作は何時、何処で読んだのか記憶は曖昧だが映画の方は1968年の夏だったかに映画館で一気イッキ見したのを覚えている。最初に国内で公開されたのが1959年頃なのでこれは恐らくリバイバル上映でしかも全6部構成を一挙に上映すると言う試みだった。
不定期にだったが一挙上映するのが映画館の売りで”丸の内松竹”(有楽町の松竹ピカデリーの地下)と言う二番館で上映されていた。兎に角、長い、、合計9時間以上になるので朝にパンと牛乳を持って入り途中で昼夜と休憩時に弁当を食べ又、スクリーンに釘付け、上映が全部終わって映画館を出て来るともう9時を過ぎていた。
6部構成なので間にトイレ休憩はあったものの暗い館内でじっとひたすらモノクロの画面から目が反らせない、若くなきゃ絶対に出来ない、イヤ、思いもしない映画鑑賞法である。映画はかなり悲惨な物語だが配役は当時の日本映画界を代表する人達のオンパレード、、詳細はもう記憶の彼方だが仲代達矢、新珠三千代の二人が最初から最後まで出ずっぱりの主演でモノクロ画面からでもその魅力が感じられたものだ。
当時はロードショーはそりゃ一本だが二番館になると二本立て、三本立てってのも珍しくなかった、しかも入れ替えなんてのはないので座ったらそのままずっと館内に腰を落ち着けていても誰からも文句は出なかった。それに今から思い出すとゾッとするが二階席は喫煙可だったんじゃなかろうか?
しかも館内の真ん中の辺りの席にはご丁寧にも白いカバーが掛かっていてそれが指定席だった。従ってそのすぐ後ろか隣が一番良い席なので狙い目はその直ぐ後ろだ。確か指定席になると3倍くらいに跳ね上がるので学生には無理、そんな事より一本でも多く見たくて足げに通っていた。
一緒に付き合ってくれた彼女はこの夏だけの間柄だったがさあその後、どうしているんだろう?パブリカと言う小型車に乗っていて良くドライブにも行ったのだがその後、オレも軽自動車を買い乗り回し始めたのでそれっきりに、、まさにそんな時期の嗚呼青春だ、、。