”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

“昼下がりの情事”(57年)

これはその当時の洋画ファンにとってはなんと言っても衝撃的な邦題だ。しかも情事とは全くもって程遠い存在だったオードリー•ヘップバーン主演である。その「情事」のお相手はこれ又、清廉潔白、悪を挫く正義の味方、ゲイリー•クーパーだ。

確か水野晴郎氏だったか淀川長治氏13歳どちらかがあのアン女王を演じた可憐な美女とは全く不釣り合いな邦題は間違いなくファンの興味を取り込むとしてLove in the Afternoonを誇大解釈して付けたんだっと思う。今の時代ならこりゃもう配給元は考える余地もなく「ラブ・イン・ザ・アフターヌーン」としているだろう。日本語独特の表現や感性など、思考力を使う事もなくそのままカタカナ表示だ。

まあ確かにこの邦題に関しては誇大広告だしオードリーのそんな姿は想像したくもない、現に劇中フラナガン氏(G・クーパー)のセリフにも″俺はまだ一塁ベースにもたどり着いてないんだ“(キスさえもまだだの意味)と彼女との関係を告解している。この映画、監督はビリー・ワイルダーでジャンルからいけばロマンチックコメディになる、それにオードリーは親ほども年の違う紳士と恋に落ちる訳で、この映画が制作された時は劇中、父親を演じたモーリス・シェバリエ(1888年生まれ)とゲイリー・クーパー(1901年生まれ)は13歳違いである。

そう言えば”マイ・フェア・レディ”でも恋に落ちるヒギンズ教授役のレックス・ハリソンは1908年生まれで映画が撮影された頃は50代の半ばだった。

 

これは映画の終盤、フラナガン氏が列車に乗り込みパリを後にする場面だが駅の柱の陰から見守るパパ(モーリス・シェバリエ)の存在を知らず、”心配しないで、私は貴方が居なくなっても相手する男子が沢山いるの、だから寂しくないのよ、”と必死で訴える場面だ。この時、御年28歳の若きオードリー・ヘップバーンである。何回見ても自然と泣ける、、。