”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

不気味な俳優さんの隠れた才能

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この人は決して本国でも美男俳優の部類には入らないしこれまで演じた役柄もどちらかと言うとサイケチックでサディスチックなものが多い。”ファーゴ”、”コンエアー”から”アルマゲドン”の特異なキャラクターと言えばうなずける。その彼の主演作、先日何気なく見ていて思わず最後まで引き込まれて見てしまった映画がある、それは“Interview”(07年)と言うのだが彼の才能を垣間見たものであった。

残念ながら今のところDVD化は勿論未定だし日本では見る術がないと思うが昨今インターネット配信も可能な世の中なのだからこんなぴりりとした佳作を掘り起こして有料でも結構、配信して貰えないものか、、どうです国内の担当者?

ストーリーはニューヨークで新聞社の芸能コラムを担当するスティーブ・ブシェミ扮するピエールが著名で脚光を浴びているドラマ俳優にインタビューを試みるという物である。全編殆ど出演者はこの二人だけで舞台劇を見ている感があるがその二人のセリフのやり取り、或る時は感情をむき出しに、そして或る時はその感情を抑えて相手の本心に迫る芝居に映画である事を忘れて引き込まれてしまった。

相手役の女優さんはシエナ・ミラーと言う女優さんでカティアと言う役柄、とても雰囲気があってしかし脆そうな表情が良い。最初はインタビューには協力的でなくむしろイヤイヤでピエールの問いかけにもつっけんどん、レストランでのインタビューを途中でピエールが余りに協力的でないカティアの態度に業を煮やし飛び出してしまうのだが外でタクシーに接触、怪我を処置する為に彼女の自宅へ誘われそこでインタビュー再開となる。双方、いやピエールがカティアの外部には知られていない顔をスク-プすべく必死に労を策するのだが相手も一筋縄では行かない女優さん、ピエールは彼女がボーイフレンドと話している間にパソコンの日記まで盗み見る始末、最後はビデオカメラを設置し双方これまで秘密にしていた職業上の事や身の回りの事を告白しようと言うところまで行くのだが、、結局ピエールは彼女の一大秘密をスクープしたかと思いきや自分の方も職業倫理的な秘密を告白してしまい折角手に入れたと思ったスクープが只の会話に成り下がってしまうと言う結末である。

この映画、脚本も監督もスティーブ・ブシェミによるもので普段の彼の役柄からは想像も出来ない才能の持ち主なのだと再認識させられた映画である。