”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”オーストラリア” - 映画の題名

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こりゃ世界中何処へ出してもタイトルを訳す必要もないし注釈も必要ない。昨今こんな配給元を喜ばすタイトルも珍しい、、。

実はバズ・レーマン監督の新作、しかもオーストラリアを舞台にしたものとあって撮影開始直後から話題騒然、しかもニコール・キッドマンヒュー・ジャックマンと来りゃイヤが上にも超大作だと前評判ばかりが先行した。撮影中から現地情報も頻繁に入りTVやラジオでも近況はああだこうだと珍しく日本のマスコミも負けそうな雰囲気だったもんだ。完成後には派手なプレミアも各地で開催され映画が撮影されたボーウェンと言う人口僅か2000人の町でもレッドカーペット(何処にあったんだろう?)を敷き詰め住民が何と全員押しかけたそうな、、。

昨年11月後半に一般ロードショーとなり夏休みに突入、そこそこにロングラン、それなりの収益をあげていた様な記事も読んだが何となく映画館に見に行く気がせずずっとそのままになっていた。何せ3時間超えの大作となるとその、、トイレが一番問題だし、日本軍のダーウィン攻撃も後半の見所とか書かれていたのでそれらが引けた理由かも知れない、、そこで我が家にいながらにトイレの心配もなく鑑賞する事に相成った。

調べてみると確かに日本海軍の総攻撃は真珠湾をも越える規模であったようだがそれも連合国側は北の海岸線警備に3万人からの兵士を動員した事が原因であって何もオーストラリアに進軍して攻め入るような無謀な計画があった訳ではないような、、しかし映画を見てみるとダーウィン沖の小島に身寄りのない孤児や問題児、原住民が収容されていてそこへ上陸した日本兵に主人公の大事な親友が撃ち殺される場面があるのにはびっくりを通り越して呆れて空いた口が塞がらなかった。

一体あの日本兵は何処からやって来たのだろう、、ヤイ監督、幾ら映画の世界とは言えそりゃあんまりだぜ。ゼロ戦だってあんな飛び方したら味方同士でぶつかっちまうじゃないか、、まあ拡張や派手な演出は許せるもののあれは明らかにおかしい展開だ。

監督も撮影当初、往年のレット・バトラー&スカーレット・オハラを意識していて時代ものの大恋愛を大掛かりな背景に展開しようと言う意気込みだった。現に宣伝用スチールの色合いや構成がそれを思い出させるものだし原住民アボリジニを描き馬車で火事場を逃げるクライマックスをゼロ戦攻撃機に置き換えた意欲は買う、、だがしかしこの結果である。何処で何を間違ったのか、方程式は全部揃っているのに。

テンコ盛りした割には夫々のシークエンスが単調で語り手が一気に説明して済んでしまうような構成が良くないのだが先の実話のねじ曲げた論法が見ている観客を引かせる。一旦そんなモードに入るともうダメだ、幾ら金が掛かっていようが配役が良かろうが白けた気分は取り返せない、、折角の壮大な題材と豊富な制作費が空しい。日本でも同じように感じたファンは多いハズで映画館へ見に行かなくて良かったと呟いてしまった。