”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

新年早々お気に入りの女優さん登場!!

新年早々お気に入りの女優さんが現れました。こりゃ2013年イチオシです。その人の名は、シベル・ケキリと言うドイツ生まれの女優さんでトルコ人の血が流れているそうな、、80年6月生まれです。おっと、うちの下の娘より若いんだ、こりゃ拙いな。
 
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昨日見た映画の主演女優さん、その映画は英語表記では“When We Leave”(我々の離別)、ドイツ語のタイトルは“Die Fremde”2010年に制作されたドイツ映画なんですがドイツと言っても舞台はハンブルグ近郊のトルコ人社会の出来事なので見ていると我々にはトルコ映画かな?と錯覚させられる。昨年のオスカーにはドイツ映画協会から外国語賞部門に選出されたとか、。
 
映画はかなり好き嫌いがはっきりするかも知れない展開だ、端的に言うと夫のDVに耐えられなくなって嫁ぎ先のイスタンブールから幼い男の子を連れて実家のハンブルグへ帰って来るウーメイ(シベル・ケキリ)、両親、兄弟も久し振りに会うのが嬉しい、可愛い孫も一緒だし、、お父ちゃんが“ダンナは何時来るんだい?”それに答えられないウーメイ、ドイツに暮らしていようがやはり献身な回教徒、その習慣や慣習、それにご近所を思う気持ちは何処の外国社会に住もうが変えられるものではないし逃れられない。
 
要するに日本でも同じ風習があるが出戻りは困るのである。両親はさっさと仲直りさせて旦那さんの元へ返そうとするが、、ある日母親が偶然にシャワーに入っているウーメイの裸の背中を見てしまい事の深刻さを理解する。しかし苦悩するお父ちゃん、、ダンナに電話をして迎えに来るように頼むが向こうでも本人が帰りたくないならもうどうでも良い、でも息子だけは返してくれと最後には困った事を言い出す始末。このウーメイには婚約中の妹、それに血気盛んなお兄ちゃんと存在感の薄い弟と3人兄弟がいる。その妹の婚約者の父親があろう事か婚約解消を申し出て来る、理由はこのウーメイである、父親も勤務先の新聞社では白い目で見られたり兄は酒場で喧嘩を売られたりと良い事がない、、お父ちゃんはこれら全てウーメイが帰って来た事から始まった”災難”だと信じて疑わない。
 
そしてその妹から妊娠を打ち明けられる家族、、こりゃもう何としても婚約解消を回避しないと益々この一家は深みに落ち込む。そこでお父ちゃんは苦悩の選択を、、ウーメイの夫に電話して先方が主張する子供を拉致させ連れ帰らそうと計画する。保育園から拉致する寸前にウーメイがその現場を目撃するのだがもうウーメイには家族と一緒にいる事を諦めるしかない。
 
明け方実家のアパートを出ようとするが厳重が鍵が掛けられていて外出もままならない、ウーメイは已む無く警察に通報、家族内DVを主張して息子を連れてシェルターに入る事を決心する。
 
とまあ壮絶な展開になって行く、、我々には信仰心は理解出来てもそこまで頑なに実の娘を”拒否”する回教徒の心理が判らない、、実娘より周囲がどう思うかを優先し家族の誇りとか名誉が最優先する、これが現代のお話かと見る目を疑う。多分舞台が彼らの出身地のトルコだったら違う展開も考えられるのだろうか異国の地、限られたトルコ出身者が暮らす社会が舞台なので家族の名誉とか忠誠心は想像を超えるものがあるのではないかと勝手に解釈する。
 
そして後半、更に壮絶な結末に向かって行く、、病魔に倒れた父親、画面では倒れる場面だけで何処が悪いのか治療出来るのか一切語られない、やっと病室へウーメイが見舞うがお父ちゃんが涙ながらに”もう行きなさい、、”と遠ざける。ウーメイは息子を連れて病院を後にするのだが、、それを追いかける弟、拳銃を突きつけてウーメイを抹殺しようとするのだ、、。しかし弟にはそんな事は出来ない、拳銃をその場に落として去って行くのだがふと振り向くと今度は兄がナイフを手に立っている、、。
 
ともう何でこんな展開に、、と自問自答する展開。日本人の我々には理解し難い場面の連続だった。家族内に結局殺人犯を生んで行くのではこの一家の末路はさらに悲惨な事になる、、それが判らない訳ではないだろうに、、。
 
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ひょっとしておっさんには消化出来ない映画なのかと思って調べたら何とヨーロッパ各国では色々な映画賞を総なめにしている、、シベル嬢も主演女優賞を獲っているしドイツを舞台に映画界でも大活躍中とか、。
 
日本には2004年、イスタンブールを舞台にした映画”愛より強く”で紹介されているようだ。寸評を読むとこれもかなりな映画らしい、ともあれこの映画でも彼女の清楚さ、折れそうで芯のある風情から目が離せなかったしそれが唯一の救いだったかな、、。