最近のアメリカ映画、演技陣はイギリス勢に押されっぱなし、企画立案に至ってはリメイクに頼るかナニをやっても死なないマーヴェルの主人公に頼りっきりだ、、そうそう宇宙からの侵略者、エイリアンもいたな。でも西部劇だけは負けられない、昨今制作される本数が極端に少ないのが残念だがこれだけはアメリカの大地を舞台にアメリカ人が演じないとダメなお家芸とも言える映画である。まあマカロニ・ウェスターンもあったか、。良く考えると西部劇はあっても東部劇ってのはない、そりゃ開拓時代の皆さんは“How The West Was Won”(西部開拓史)で東部、南部、北部、中部からこぞって西を目指していたのだからやはり“西部劇”である。英語では単に“Western”なんだがこれを西部劇とした担当者は見事な感覚も持ち主だったんだろうな、。
我々の世代に置いては西部劇と言うのは一種独特のジャンルであってイコール、ジョン・ウェインやゲイリー・クーパー、更にはバート・ランカスターからカーク・ダグラス、アラン・ラッドにクリント・イーストウッド、、と全く女優さんの出る幕はなかった。それ程に男っぽい映画の代名詞である。実は先日リメイク版“駅馬車”、リメイクとは言ってもそれももう40年以上も前に制作されたのだが、を見て新たに西部劇の良さを思い出させて貰った。
“シェーン”(53年)、この時代になるともう総天然色だった。流れ者のシェーンがとある農場に辿り着き街を我がものにしようとする悪人どもと対決、最後は殺し屋ジャック・パランスと決闘。ジョージ・スティーブンス監督、アラン・ラッド主演の名作だ。
“真昼の決闘”(52年)、まさにハイ・ヌーン、ゲイリー・クーパーにグレース・ケリー、監督はフレッド・ジンネマン。これも完全に古典入り。ニューヨークのコーネル大学、映像文化の授業では教材として取り上げられているし生徒は全員繰り返し見ている。リアルタイムで進む85分の緊張感は素晴らしい。
ジョン・ウェインは1907年生まれ、ゲイリー・クーパーは1901年生まれ6歳違いなので銀幕で活躍していた時期はかなりダブっている、、しかし残念な事に両雄が共演した映画はない。両雄が対決する西部劇が一本くらいあっても良かったのにな、、当時は誰もそんな事は考えなかったんだろうか??
“ヴェラクルズ”(54年)、ゲイリー・クーパーとバート・ランカスター、監督ロバート・アルドリッチ。メキシコへ帰る伯爵夫人の護衛としてこの二人が道中を共にするのだがその馬車の重さが半端じゃない、、そこから正 義感溢れるゲイリーと隙あればと企む悪漢、バートの虚々実々の駆け引き。これも名作だ。
“リオ・ブラボー”(59年)、これもジョン・ウェイン、ハワード・ホークス監督が作り出した西部劇のエッセンスが凝縮した映画。ディーン・マーチンや当時人気沸騰中の歌手だったリッキー・ネルソン、そしてアンジー・ディッキンソンにウォルター・ブレナンと個性派揃いの名作だ。
“アラモ”(60年)、ジョン・ウェインが主演、監督と二役をこなした映画。興行的には残念な結果だったのだがアラモの砦を守る僅かな軍勢にリチャード・ウィドマーク、そしてローレンス・ハーベイを配しメキシコのサンタアナ将軍に対峙、玉砕する史実を基にした映画で個人的にはお気に入りだ。
“続・夕陽のガンマン”(66年)、クリント・イーストウッド主演のマカロニ・ウェスターン、監督はセルジオ・レオーネ。アメリカを舞台に撮られた“正統派”西部劇ではないのだがやはりこれはランクインだろう、。
“許されざる者”(92年)、同じくクリント・イーストウッドが主演、監督をした名作。オスカーも取っているし近年制作された西部劇としては代表格。
“トゥルー・グリット”(10年)、オリジナルは“勇気ある追跡”ジョン・ウェインで69年に制作、彼がオスカーを受賞した名画だがそれをコーエン兄弟監督がジェフ・ブリッジスを主演に抜擢し作り上げた映画、オリジナルを“幾らか超えた“数少ないリメイク作品かも知れない。
思いつくまま選んでみたが漏れている名作がまだ沢山ある、、こりゃとてもベスト・テンだなととは言っておれない、第一順位をつけるだのもってのほか、あくまでも頭に次々と浮かんだ印象深い作品群としておこう。