これは最新の劇場公開前のポスターです。しかしこれじゃ一体何がナンなのか、、”バトラー=執事”とは判っても他には何も判らない、、まあそれが映画会社の新手のプロモーション手法なのかも知れないのだが、、その手法にまんまとハマってしまった。そして以下;
久し振りに“こりゃ見たいな~、、”と思わせる映画が今年公開される。タイトルは“The Butler”、、邦題はそのまま“バトラー”か“執事”か、、さあどうするっ、担当者?“ザ・バトラー”なら許してやろう、、でも思い切って“ホワイト・ハウスの執事”としたら座布団100枚を進呈しよう。
お話はそうそのホワイト・ハウスを舞台に1952年から86年と言う34年の長きに渡り“執事”として歴代、8人のアメリカの大統領に仕えたユージーン・アレンと言う人、南部出身者の実話、伝記モノである。先ずその配役からして凄い、リチャード・ニクソンをジョン・キューザック、ロナルド・レーガンはアラン・リックマン、夫人のナンシーをジェーン・フォンダ、アイゼンハワーをロビン・ウィリアムズ、その夫人をメリッサ・レオ、JFKをジェームス・マースデン、夫人のジャッキーをミンカ・ケリーそして主役のバトラーをフォレスト・ウィテカーそして奥さんにオプラ・ウィンフリー、、もうこの配役だけでも期待度が上昇、100%Upだ。余り似てなそうだな、、と言う配役もあるのだが、、。
表舞台ではなくこんな“縁の下の力持ち“に焦点を当てた企画は好きだ。ハリウッドだってヤレば出来るじゃないかぁ?特撮だCGだ、アクションだ3Dだ、、コミックだなどと言わなくてもこんな良い題材がある。実物のアレン氏は1919年生まれ、2010年に91歳の生涯を終えているのだが52年に33歳にしてホワイト・ハウスの下働きとして配属されそれからコツコツと34年間、国の中枢で各大統領に仕え最後はヘッド・バトラーとして執事頭のトップにまで登りつめた努力の人である。登用された52年と言えば出身のヴァージニア州ではまだ黒人VS白人の対立もあっただろうし人種偏見は勿論、職業だってかなり限定的な時代だった筈、そんななかで一体どうやってワシントンDCまで来れたのか、、そんな事を考えるとこりゃもう見ない訳にはいかんぞ、、。
”バトラーもの”としては先輩格の限りなき名作”日の名残り”(93年)がある。対照的に此方はイギリスの貴族社会を舞台にした”ホンモノ執事”をアンソニー・ホプキンズが感情を押さえた見事な演技でオスカーは勿論、各賞にノミネートされ作品も高い評価を受けた。原作があるものから転用された作品は脚本構成がかなり難しいものだがこの映画ではそんなハンディをものともせず見事に作者の感性を転化していた。そしてその作者と言うのがカズオ・イシグロと言う立派な九州男児である。日本出身の作家がイギリス社会に古くから存在する貴族の館を舞台にした事にも驚くがこれはもう本場のイギリス貴族が書いたものをも遥かに超えたのではなかろうか、。公開当時の職業柄、この映画にはいたく刺激され後年指導する立場になった折、事あるごとにこの映画を見るように周りに勧めた事もあった、、。
そんな個人的な思い入れもあるのだが今回の”英VS米のバトラー対決”何処までアメリカン・バトラーが英国に迫れるか、それも見極めるのも楽しいじゃありませんか、。先輩と違って此方は実際に存在した人物の伝記、出版された原作はなく映画用の書き下ろしなのだが公開は10月とか、、今頃切った貼ったで編集の真っ最中かな、、これで昨年の”スカイフォール”に続き今年も楽しみが増えた。 ↓これが晩年のユージーン・アレン氏