”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

イタリア”チネチッタ・スタジオ”のドキュメンタリー映画

”爺も歩けば棒に当たる、、、”そんな表現をしたくなるような映画に出会った。実際にはチャンネルをひっくり返していたら当たったと言う事なのだが、、。普段はドキュメンタリー映画は見たくてもなかなかチャンスはないし(オスカーにノミネートされる映画だって殆ど未公開)レンタル屋にもない、、ましてや有料配信の放送局でもなかなか放映してくれない、、こんな映画は多分マニア向けと向こうが勝手に決め込んでいるふしもあるがYoutubeをもっと活用すればこんなドキュメンタリーも日の目を見るんだがな、、。
 
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これがそのタイトルで表紙を飾るのはキム・ノバックです。原題はイタリア語なのだが”テベレのハリウッド”(09年制作)、有名なテレベ川に位置するイタリアの街の名前を転用、内容はかのチネチッタ・スタジオが独自に撮影したドキュメンタリー映画で数多くのハリウッドの映画制作が当地で行なわれていた様子が克明に描かれている。
 
歴史を見るとローマ市内にあるチネチッタ・スタジオは37年にベニート・ムッソリーニによって設立され50年から70年代にかけては多くのハリウッド大作の撮影現場として両国の映画界に大きな足跡を残したとある。映画界においてそれ程に米&伊の関係が緊密だったと言う事も寝耳に水だったがハリウッドは当時自国での高い労働コストを避けて遥々このイタリアのスタジオで大型企画を量産していたと言う事だ、、その背景を70分に収録してある。
 
ドキュメントも50年代、、初々しいオードリー・ヘップバーングレゴリー・ペックがイタリアの空港へ降り立った場面、これはなかなか見れない、、オードリーが愛犬を抱いているし、、、貴重な場面の連続、もう還暦ジジイには堪えられない画面の連続です。若いローレン・バコール、クラーク・ゲイブル、チャールトン・へストン、こんなに沢山の俳優さん達が海を渡ってチネチッタで映画を撮っていたんだ、、と驚かされる、。当時イギリスとかフランスでハリウッド映画の撮影を敢行した、、とは余り聞かなかったので全部此処へ行っていたんだろうな、。”ローマの休日”は当然此処が舞台だったが”ベン・ハー”や”エル・シド”や”クレオパトラ”を初めとする史劇、それに”アラビアのロレンス”の一部も、、、これには驚いた。しかも貴重な画像としてプレミア上映に出席して来る俳優さんたちやインタビューも撮られている、、スタジオ側が記録映画として残す為に撮った膨大なフィルムを編集しているようだ。画面はモノクロだし解説は全部イタリア語、、、英語の字幕が入るがみんな早口なので読むのが大変だ。
 
全編知らない顔はないと断言しても良いほどに当時映画を見まくっていた頃のハリウッド大作が次から次へと出て来る、、若いクリント・イーストウッド(てっきりローレンス・ハーベイだと思ってた)がマカロニ・ウェスターンの撮影で調印した場面やらブリジット・バルドーソフィア・ローレンのオーデション風景、こんなのはなかなか見れないぞ~、、”ベン・ハー”の撮影秘話もあったし、、初期の筋肉マン、スティーブ・リーブスやロッサナ・ポデスタ、クラウデア・カルデナーレ、ヴィルナ・リージとイタリア映画界の綺麗どころも満載、、最後の頃のナレーションではフェデリコ・フェリーニ監督がこのスタジオを舞台に多くの作品を手掛けていた、、残念ながらそのチネチッタも80年に倒産の憂き目に、、、以降イタリア政府が管財人として介入する事になったそうな、。
 
こりゃ買えるものなら買っても良いかな、、と久し振りに購買欲をかき立てられた一本でした。