”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ママが泣いた日”、、、

今朝は6時起き、、日曜だし電話が鳴らない限り事務所も閉めて応対はしない事にした。其処で映画以外の唯一の楽しみ、メージャーリーグの放送を待つ事にして野球三昧を決めた。
 
4月に始まった162試合のシーズンが終わり30チームのなかから勝ち残った4チームが対戦、最後はワールド・シリーズと言うことになるのだがその前にアメリカン・リーグナショナル・リーグの覇者を決める7試合対戦、先に4勝したチーム同士がワールド・シリーズへ行く、。ボストン・レッドソックスVSデトロイト・タイガースの第一試合。ナショナル・リーグはロス・アンジェルス・ドジャースVSセント・ルイス・カージナルスの第二戦だ。試合は全部投手戦で点の取り合いはなし、結局1対0でカージナルス、全く同じスコアで今度はタイガースが勝ち明日の第二試合へ、、両方の試合を見終わるともう2時だった、、って事は8時間も見ていた事になるぞ、、こっちがやっている訳じゃないがこう言う点の取り合いじゃない緊迫する投手戦は見ているだけでも結構疲れる。
 
タイガースと言えば本拠地がデトロイトで99年にはケヴィン・コスナーが”ラブ・オブ・ザ・ゲーム”で実在の投手ではないのだがタイガースが全面協力して舞台を提供した映画があったな、、、この試合では彼が野球選手生命最後のシーズンで何とパーフェクト・ゲームを演じる、今日の実況中継の試合では此方はまだ若い選手だがボストンの強力打線を相手に8回までノーヒットノーランを演じていた。
 
野球を舞台にした映画は数多くあるのだがどれも好きな映画だ、これ以外には当然”フィールド・オブ・ドリームス”や”オールド・ルーキー”、それに”がんばれベアーズ”などなど、、最近ではジャッキー・ロビンソンの伝記映画”42”、、それにこれも大好きな”マネー・ボール”、、それからクリント・イーストウッドの”人生の特等席”、とどれも素晴らしいしちょっと異色だが女性のプロ野球チームを描いた”プリティ・リーグ”何て秀作もあった、。
 
そんなでタイガースを応援していたらもうひとつケヴン・コスナーが”元プロ野球”選手を演じた”ママが泣いた日”(05年)と言う映画もあった、この映画では引退したプロ野球選手と言うだけでチーム名も何も出て来ないのだが劇中、ケヴィン・コスナーの自宅の壁に先の”ラブ・オブ・ザ・ゲーム”で投手を演じた時のポスターが壁に飾ってあった。と言う事は舞台になる街はデトロイトだしこりゃ完全に意識してそのポスターを使ったとしか思えない、、まあ役名はビリー・チャペルとデニー・デーヴィスと全然違うのだが、、。
 
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この映画、原題は”The Upside Of Anger"と言う。”怒りの表面”なんだがこの場合の”Upside"とは”上面”と言う事だけではなく”利点”、良好な面”とでも言えるような、。従って”怒りの向こうには良好な面”もある、、のだがそれが何と邦題は”ママが泣いた日”、、、これはちょっとな、、担当者大分手を抜いたんじゃないかぁ??
 
映画をご覧になればその”ママが泣いた”理由も判るのだがそれだと物語の出だしになってしまい其処から色々とお話が展開するってのにダメじゃないか?むしろ”ママが笑った日”にしないと、、、。
 
映画は冒頭お葬式のシーン、、未亡人はジョーン・アレン扮するテリー、、傍にはデニーケヴィン・コスナー)
や彼女の4人の娘たちが参列している、。カメラがバンしてストーリーはその冒頭のシーンからタイム・スリップして3年前に戻って行く、、。
 
テリーはすっかりアル中、、真昼間からガブガブとジンかウォッカかを飲みまくっている、成人した娘が4人もいて夫々に食事の支度をしたり家事もするのだが全てが気に入らないし常に怒っている、これが原題の”Anger"部分、、。どうもナレーションや会話からするとこのデトロイト郊外の割と裕福な住宅地に住む彼女のご主人がある日突然職場の秘書と手に手を取り合って駆け落ち、、しかもどうやらスウェーデンまで行ってしまったらしい、、。兎に角、自宅や職場にも連絡もなしに財布を持って忽然と消えてしまった。そんな環境で何が何だか判らず酒浸りの状態、、怒りのやり場もなく娘たちに当たり散らしている毎日、。旦那が居なくなった程度でこんな裕福な生活、しかも立派がお嬢さんが4人もいて金銭的に不自由もなく、、何でそんなに怒るんじゃい???とこれはおっさんの内の声、、まあプレッシャーがあるにせよ、、自立した娘なら相談相手にもなるし消えたダンナはキレイさっぱり忘れりゃ良いのにな~、、でもそうなると映画にならないか、、始まって僅か20分で終わりじゃ見ている観客はそれだと”The Downside Of Anger”だよ。
 
 
そんな環境で日常が過ぎて行くのだがある日お隣に越して来たデニーがご挨拶に、、越して来た家の裏庭が彼らの住宅地に接しているようで其処に家を増築したい、ついてはご主人から建築許可を取りたいのだが、、
こんな元プロ野球選手役もケヴィン・コスナーは似合う、、スポーツ選手役が多かったしジョーン・アレンとの絡みも巧い。封切り時にもジョーン・アレンを見直したものだが彼女も何処に向けて良いのか判らない内面の怒りを巧く表現していて主役二人が映画をドンドン進めていく、。娘4人も魅力的で個性満点、監督のマイク・バインダーも重要な役どころで出演、、(普段俳優業も半分やっている)脚本家としても手腕を発揮していて想定にちょっと無理な点があるが全編快調だ。
 
しかしやはり邦題がな~、、、何で”ママが泣いた日”かな、、、せめて”怒りの向こう側”、”怒りの側面”、、イヤ
何だろう、、怒りの真相”、、ダメだな邦題に”怒り”は”アフガン”くらいだろうし禁物だ、、。”アップサイト・アンガー”じゃもっとダメだし、、。
 
映画は途中からデニーとテリーの関係を軸に娘たち4人が夫々自分たちの選んだ道を進み始める、同級生に淡い感情を持ち続ける末娘や一人ロスへ働きに出て行く長女、、大学へ行く行かないでママと騒動を起こしたり年上の彼氏が出来てしまうなどのストーリーが挿入されて行くのだが年月の経過と共に彼ら6人の生活が描かれていてこりゃかなり良質の映画だ。終盤映画は謎解きの要素もあり娘4人とママとデニーが庭で語り明かす場面で幕を閉じる、、舞台劇としても立派に通用する”演技で魅せる”映画として邦題以外は大変お気に入りだ、、。