”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”スペシャル・フォース”(11年)

原題は"Forces spéciales" と言う珍しいフランスの戦争映画。邦題は英語表記をそのまま使ったカタカナなのだがその何となく惹かれたタイトルと主演にダイアン・クルーガーの名前があったのにつられて先日録画しておいた。録画なので最初だけ見てダメなら途中でやめよう、、と思いつつ結局最後まで、しかもかなり感激して大満足したフランス映画でした。
 
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舞台はパキスタン、、ジャーナリストのエルザは有能な報道記者、タリバン占領の部落で過酷な環境下、拷問を受けた女性にインタビューをしている。人道的立場からこのタリバン支配の現実を世の中に伝えようとしているのだが、、。
 
インタビューから引きあげる途中にエルザと同僚の男性リポーターがタリバンに拉致され彼らのアジトに連れ去られ監禁されてしまう。いち早くその情報を入手したフランス情報部は政府上層部、大統領へとニュースが伝達され即座に”スペシャル・フォース”が派遣される事になる。
 
普段、アメリカ版の”デルタ・フォース”や特殊部隊モノを見ているとちょっと勝手が違うがフランス語を喋ってはいても同じ先鋭部隊はフランスにだってあるはず、連合軍としてアメリカの関与があるかと思いきや此処はフランスの単独行動だ。空母からヘリを動員して精鋭部隊がパキスタンの山奥へ送り込まれる、、。
 
此処まで見て、、ウーン、こりゃ同じ設定の映画を見たことがあるかな、、そうだ”ティアーズ・オブ・ザ・サン”(03年)、アントワーン・フークワ監督でブルース・ウィリス主演があったような、。アチラは北アフリカが部隊でやはり宣教師が運営するジャングルの奥地へ国連から派遣されたお医者のモニカ・ベルーチを救助に行くお話だった。
 
イメージ 2独裁者の毒牙を逃れジャングルをさ迷い歩き救助地点までやっとの事たどり着くのだがこの女医さん、、村人を放り出して自分だけ行くわけにはいかないと駄々をこねる。やむなく隊長のブルース・ウィルスが女子供を優先的にヘリに乗せ乗り切れない隊員、以下の住民は徒歩で隣国のカメルーンを目指す脱出劇だった、、。
 
一方のエルザリポーターはそんな難題は抱えていないのだが執拗に追ってくるタリバンの首謀者の意図が判らない。ケンブリッジにも留学していて英語も流暢に話す、それが冷酷無比な独裁者的存在だ。
 
当初は精鋭部隊がヘリコプター5機に分散して敵のアジトを急襲、無事にエルザと同僚を助け出し精鋭部隊のなかの更に5人の精鋭隊員に守られて救出地へ向かうのだがその途中通信機器を撃たれて味方との連絡が取れなくなってしまう。此方の隊長はコヴァックス、、彼の指揮で山越えを決意してアフガニスタン領へ行こうとするのだが、、これが苦難の連続、、11日間かけて平地から雪の舞う山頂へと伝うのだが精鋭が一人一人とやられていく。エルザの同僚も途中の部落で襲われ命を落とす。5人いた精鋭も残り二人、、そこへやっとの思いで追い付いてきたタリバンのおやぶん、、。
 
イメージ 3もうハラハラドキドキの連続、、この時点で電話よ鳴るな誰も来るなの心境、、。それにエルサの苦悩、、たかがレポーターでしかも周りが止めるのを聞かずにパキスタンの奥地へ入り無謀なインタビューを、、その代価が自分の同僚、それにフランスきっての精鋭部隊所属の兵士たち、。思えば例のタリバンの大将は女リポーター一人に逃げられ面子丸つぶれ、それの代償としてこれだけ執拗に大勢の部下を連れて女ひとりを追ってくる、これが戦争の現場なんだと思うと夜なんか眠れない。
 
逃避行の間に兵士たちの戦争に対する思いや彼らの家族、友人を考えると自分は何と浅はかなのか、この辺りはアメリカ映画には見られない”格調の高さ”を感じさせる映画でした。
 
ダイアン・クルーガーはこんな綺麗な姿になる場面は一切なく最初から最後まで一張羅、、おまけに足まで凍傷になり11日間風呂もシャワーもない生活でその汚れぶりは凄まじい。
 
最後に残された隊長とちょっと心を交わせ始めた隊員の愛称チクタク、、隊長は左足の骨折、チクタクは左脇腹に銃創で身動きが取れない。二人はコンパスをエルサに渡し、”もうアフガニスタン領内に入っている。このまま真っ直ぐ西に向かって行きなさい”と諭す。エルサは抵抗するが”キミが生き延びる事が我々の使命を全うする事なんだよ”と言う隊長の言葉に頷き一人トボトボと西を目指すのでありました、、、。この辺りは痛烈な戦争批判となっていて苦悩するエルサを好演するダイアン・クルーガーは映画”トロイ”のヘレンとは大分違う、、見直しました。
 
で最後はアフガニスタンの道端に倒れ込んだエルサ、バックパックもなくしもう一歩も動けない、其処へ通りかかった一台の車に助けられ無事フランス軍が駐留する駐屯地へ、、其処の司令官がヘリを二台調達、更にはエルサを背負ってヘリに搭乗、残された隊長とチクタクを探しに山脈を伝って行く。そしてハッピー・エンド。
 
日本では劇場公開されずいきなり12年にDVD化されているらしいが最近見た劇場公開映画よりよほどしっかり出来ていると思う、、、まあダイアン・クルーガー以外に知られた俳優さんは出ていないし日本じゃ”フランスの特殊部隊”と言ってもインパクトが弱いかな、、でも映画ファンたるやこんな良作に出食わすのは嬉しいものだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
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