”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

獣たちの墓(14年)

どうしても映画が見たくて今日は仕事を放り出し、家内には一応鳴った電話には出てくれよ、と言い残しいそいそと近所のシネコンへ、、イメージ 1
 
土曜日の初回なのでそんなに混んでいる訳でもあるまい、予想通りこりゃ原作を読んでローレンス・ブロックとマット・スカダーにハマっているファンと思えるおっちゃんがぞろぞろとやって来る、、。
 
窓口で切符を買うのにはこの3種のカードが必要だ。先ずシニア・カード、、これで11ドルポッキリ、それにシネマ友好会のカード、10回見ると一回がタダになる、、それに総額60ドルの金券カード、、まだ残金が15ドルくらいあるらしい、、を揃えて提示する。
 
そして入ったVMax3で上映されていたのが”A Walk Among The Tombstone"(原作、翻訳時の邦題が”獣たちの墓”、、日本公開時には是非この邦題にして欲しい、、担当者間違っても”墓石の徘徊”だなどとへんてこな邦題にはしないでくれよ)、、そして2時間後、もうこれ以上はないだろうと言うほどの満足感いっぱいで劇場を後にした。
 
つい先日、映画の公開が決まってから改めて原作を読み返しているのでまだ頭の中の記憶は新鮮だ。兎に角最初から最後まで(ラストがちょっと変更されている)原作に忠実でこの映画化にはきっと原作者のブロック氏も大満足されているのではないだろうか。勿論主役を演じたリーアム・ニーソンがマット・スカダーを巧く演じかなりハードボイルドタッチに仕上げた事が成功の大きな理由だが、、。ルック・ベンソンが書いたり、監督したりした場合とはかなり違う”強いリーアム”なのだが背景がヨーロッパではなくニューヨークに限定されているのもその理由かも知れない。
 
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映画は出だしの10分でマット・スカダー(ニューヨーク市の刑事)が何故依願退職する事になり今はしがない私立探偵をやっているのかのプロローグが入る。
 
原作では最初っから読まないとそんな説明はないのだがそんな状況をさらりと説明してくれ一気に時は流れ、探偵稼業で元アル中のマット・スカダーがある事件解決の依頼を受ける事になる。
 
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着ているコートは同じだが此方は探偵稼業、大分スッキリした現在のマット・スカダーだ。その依頼主と言うのは街の知り合いで自分の兄の為に仕事をして欲しいと頼みに来る。
 
その兄、ダニーの自宅を訪ねるマット、、その兄貴とは麻薬取引で生計を立てているドラッグ・ディーラーで”妻が誘拐され身代金を要求され40万ドルを払ったのだがその肝心の妻は殺された、、”と話す。自身が警察に出頭する訳には行かず何とかマットに犯人を探して欲しい、、と言うのがこの依頼だ。もう最初からハードボイルド調満載、しかも妙にこのマット・スカダーには現実感がある、。劇中のセリフにもフィリップ・マーロウはこうだったとかサム・スペードはこんなだとかなり意識した表現がありニンマリさせる。
 
これは警察沙汰だと最初は断るのだが彼には頼れる警察はありゃしない、、やむ無くマットは依頼を受ける羽目になるのだが果たして何処から手をつければ良いのやら、、。この展開は原作と全く同じ、、かなりと言うかまるで手掛かりのない状況でしかも被害者は麻薬を商売にしている反社会的体制の一員だ、、マットは先ずダニーの奥さんが誘拐された日に出掛けていた場所を念入りに辿って行く事にする。原作を読んでいるので何処でどうなるかはすっかり知っているし犯人探しの興味には欠けるがそれでも丁寧に映像化されていて最後まで息をつかせない、、。
 
マット・スカダーの役柄自体が元CIAとか辣腕スパイとは違って当たり前のニューヨーク市の刑事、それが一転私立探偵になったのだがそれも正式に免許を受けた正規の私立探偵ではないところが余計郷愁を呼び、ナンでもやってのけるスーパーヒーローって訳ではないのが身近に感じるところかも知れない。それに共演陣が全くと言って良いほど馴染みの薄い配役なので余計に現実味が増す。
 
マット・スカダー・シリーズとして原作は沢山あるしリーアム・ニーソンをそのまま主演に据えあと2-3本映画化してくれないかな?もっとダメな映画がシリーズ化されている事を思うとこの映画はすこぶる付きの秀作だと思うのだが、、それはちょっと入れ込み過ぎか?果たして日本では公開されるか、、昨今原作本、翻訳モノさえ売れないと聞くので下手をすると日本での公開は良くてもDVDスルーかな、、。翻訳モノ、ハード・ボイルドモノ、ミステリーファンとしては予想以上にかなり大満足した映画でした。
 
 
 
 
 
 
 
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