”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”テイラー・オブ・パナマ”(01年)

相変わらずの酷い邦題だ。もう古典と言っても良いようなスパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレの原作にこんな邦題は失礼だろ。これじゃ”パナマに住むテイラー”さんみたいで全くもってその小説の真意から外れている。原作が翻訳された時は”パナマの仕立て屋”だったのでナンでそのまま映画化に際してもそれを継承しないのか??洋服の仕立て屋はそりゃテイラーだし良く街並みに”○○テーラー”と言う看板を見たこともあるがこの邦題の”テイラー”が仕立て屋だと気付く映画ファンが何人いるのか?

イメージ 1主演はピアース・ブロスナン、、007じゃないMI6の情報部員役だ。アンディ(P・ブロスナン)は前任地で不祥事を起こしこのパナマへ左遷され赴任して来る。任務はアメリカからパナマ運河が返還された後のパナマ情勢を探る事だ。

出だしはこのパナマに住む仕立て屋、ハリー(ジェフリー・ラッシュ)とその奥さん(ジェミー・リー・カーチス)や子供たち(うち一人がダニエル・ラドクリフ)と幸せな生活を送っている様子がさらりと語られる。でもどうも借金に追われ仕立て屋としての内情は火の車、、。

そんなハリーに目をつけたアンディがさりげなく近づいて行く、、パナマの仕立て屋として顧客には政府高官が多く、又、奥さんもパナマ政府の外交部門で働いているのでパナマ情勢には詳しい。

そんな彼等を巻き込んでアンディは一世一代、一攫千金のチャンスを自ら作り上げていく、、と言う誠にジョン・ル・カレらしいスパイの王道映画になっている。其処にはドンパチはないしカーチェースや派手なアクションシーンがある訳ではなくひたすら心理劇に終始する。見ている側は前任地のスペインで外務大臣の愛人を横取りして失態を演じたアンディがこのパナマでは立派な”スパイ活動”により汚名挽回を狙っていると思うのだが、。

ジョン・ル・カレ(本名はデイビット・コーンウェル)は31年生まれだが61年から執筆活動を開始、これまで23本の長編スパイ小説を書いている。そのうち8本が映画化されているのだが代表的なものは”寒い国から帰ってきたスパイ”(63年)、”ロシア・ハウス”(89年)、そして大傑作”裏切りのサーカス”(11年)などがある。

同じイギリス人、イアン・フレミングジェームス・ボンドと言う”スーパー・スパイ”を作り上げたが此方は実に地味系、、主役は何時も初老でもう引退間近みたいな”生涯一スパイ”みたいなおっちゃんが主役だ。まあその辺りがストーリーに真実味を増させているって事にもなるのだが、、本当に裏方として各国の領事館や大使館に派遣されているスパイ諸氏、いや情報分析官はこんな生活振りなんだろうかと妙に納得出来る。

先の仕立て屋、ハリーを今度はスパイに仕立てあげアンディは大金と引き換えに政府高官のパナマ最新情報を聞き出す。更には奥さんが家に持ち帰る書類を小型カメラに収める事も命じ仕立て屋が俄かにスパイに変身だ。アンディは自国の情報部を通じアメリカはワシントンのペンタゴンへも接触、”パナマ政府はどうやらパナマ運河の運営権利を他国に売り渡そう”としているとの極秘情報を流す、、そしてさらなる詳細を入手するには情報料として大金が必要と説得し両国首脳も承諾、アンディとハリーのコンビに全てを賭ける事に、、。

とそんな展開なのだがその先にはパナマの英国大使館大使やハリーに融資している不動産業者、それにハリーの奥さん自身が微妙に絡んで来て30mある庭の散水用ホースが絡み合う(何時もコイツで悩まされている)感じでドンデン返しに向かって真っしぐら、、、ああパナマとなる。




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