”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”裏切りのサーカス”(11年)

やっぱり良い映画を見て互いに感想を”ああだ、こうだ”と語り合えたら良いね、、例えそれが映画館だろうがテレビの画面であっても、、← これは夫のセリフ、、それに反論して妻は”ナニを今さら、、アナタのおヘソは何処か別な所に付いているんじゃありませんかぁ?”っで結局、我が家は折角の秀作を前にして政府VS沖縄県知事の構図みたいになっている。

その基になった映画は、、”裏切りのサーカス”、、、この邦題には全身全霊、、その言い方はヘンか、まず文句をつけたい。原題は”Tinker Tailor Soldier Spy"である。そのまま訳すと、”職人 仕立て屋 兵士 スパイ”となるのだがジョン・ル・カレ原作のスパイ推理小説、であろうことか映画化に際して”裏切りのサーカス”と言うこりゃもう冒涜モノのへんてこな邦題が付いている、これにはもう泣きたくなるぜ、

イメージ 1確かに当時、この原作ではイギリス情報部は”サーカス”と言うあだ名で呼ばれていたしその内部に”裏切り者”がいると言う設定なのでこの邦題は”ハイ、仰る通りです”なのだがそれにしてもナンとも間の抜けた邦題ではなかろうか??それが2000年代を代表する”秀作”いや”名画”につける邦題かよ??

この映画、確か劇場で見た時には館内が大いに湧いた記憶があるのだがそれ以降、もう4回は見ている。それが見れば見るほどにその映画の良さが判ってくるのである。

良く人は”何がどうだったら良い映画なんですかぁ?”、、、そして”何がダメな映画?”と言うのだがこの映画はそんな問に応えるには好例かも知れない、。単に設定、脚本、演技、、、が好ましいから良い映画、、と言うことではないような、、。今回再、再、、、再、検証して判ったのだが見れば見るほどにこの映画の良さが判る、、、やはりそれを一度見ただけで”秀作だ”と評価出来る人種は流石にプロの評論家なりで映画を見ることで生計を立てている御仁ではないだろうか??

この映画、そのワンカット、構図、カメラの位置、何処にもムダがない。それに伴い、脚本、演技、音楽、全てが決まるべき所に見事に決まっている。どのカットにも込められた意図があり夫々に意味があって微妙に過去と現実が交差する。初めて見た時には面食らった、、それが良い映画の条件だとは言わないが監督からすれば”さあ、オレがどんな気持ちでこの場面を構成したか判るか?”と言われ、それに対して観客は”判るぜ、、アンタの言いたい事は”と応えられるかどうか。これに尽きるような  まさに画面で監督と観客が格闘技を演じているような気がする。

勿論原作の良さがあるのだがそれを映像化するにはもっと色々な関係者を動員しないといけない、、即ち脚本、撮影、音楽、舞台設定から演技、、、と単に”書く”と言う本筋をもっと飛躍させないと映画としては成功しないのである。これは数少ない成功例だし恐らく原作を超えた歴史に残るべし秀作、、イヤ名作だと断言出来るものだろう。昨晩の”地上より永遠に”に続いて心底堪能出来た映画である、。


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