”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ギリシャに消えた嘘”(14年)

かの名作”太陽がいっぱい”の原作を書いたパトリシア・ハイスミスのミステリー小説を映画化したとあっちゃ見ない訳にはいかん、、、原題は”Two Faces Of January"、、(1月の二つの顔)、流石にこのままじゃ邦題にはならないだろうな、、調べたらやっぱり”ギリシャに消えた嘘”になってた。翻訳時の邦題は”殺意の迷宮”なんだがそれでも良かったんじゃないかい??

イメージ 1主演は今回はちょっと小綺麗なウィーゴ・モンテンセンそして奥さんにキルスティン・ダンスト、監督はホセイン・アミニ、そして舞台は風光明媚なギリシャ、時代は1962年となりゃやはり一種独特のあの頃のヨーロッパの雰囲気がいっぱいでアラン・ドロンの”太陽がいっぱい”の時代設定とほぼ同じだ。

一風セレブでワケありな夫婦、チェスター(V.モンテンセン)とコレット(K.ダンスト)がアクロポリスを散策中、カメラがバンするとアメリカ人だがギリシャでツアー・ガイドをやっているライダル(オスカー・アイザック)が見学者に史跡の説明をしている、、その場面が一変すると支払いを助けるフリをして小銭をくすめる一寸詐欺だ、コイツもどうやらワケありじゃないか、、。

チェスターはどうも彼の素性が気になるがコレットはすっかり彼を気に入ってしまう。(この辺りは昔のアラン・ドロンがそのまま出て来ても良かったのだが、、どうもこうして見るとパトリシア・ハイスミスはちょっとワルの美青年が好きだったんだろうか?)

結局二人はライダルと彼のガールフレンドも誘って豪華な夕食を、、此処までは快調。何処がミステリーになって行くのか、、さて彼らの素性は、と興味がずんずん湧いてくる。結局翌日も一緒に観光をする事になりマーケットで買い物の手伝いをしたりとすっかり意気投合してしまう。

そしてコレットが露天市場で安く値切って買った腕輪、ホテルへ帰る車の中へ落としてしまう。それを見つけたライダルがコレット夫妻のホテルへ引き返して届けようとすると、チェスターが倒れた男を引きずっている。この男は私立探偵でチェスターの犯罪(投資信託詐欺の常習犯らしい)を暴くために雇われていたようだがチェスターと対峙して倒れた拍子に頭をタイルに打ち付けてしまい意識不明になっている。

こんな展開になってくるともうパトリシア・ハイスミスの独壇場だ、、素性がはっきりしない二人が協力するようで反目しているような、、そこへコレットが一枚加わり、まさに”太陽がいっぱい”でマージを交えたトムとフィリップの三角関係の構図がそっくり再現されている。その三角関係が何時まで続くのか、、ずっと続いたら映画にならないのだが、、一線を超えるのはこの私立探偵が死んでいる事が判明してからだ。

彼等三人は慌ててホテルを後にするのだがパスポートはホテルの金庫、此処でも60年代のヨーロッパ独特の習慣を思い出す。ホテルに宿泊する場合はパスポートの提示が必要で一流どころではチェック・アウトまで預けて置くのが一般的だった。やむ無くライダルの友人で偽造パスポートを商売にしている人物に二人分を作って貰う事にするのだが、、。

とそんな展開で昨年制作された映画だが62年当時に戻って当時そのままのファッションやタバコの習慣、お酒の好み、、、などが詳細に描かれていく。綿密に計画を立てた犯罪モノとはちと趣が違うしそんなに大それた想定外にはならないがその偽のパスポートでギリシャから逃げる場面、この辺りはスリリングだし思ってもいない犯罪に”押し切られ”て行く、、その辺りは参加者全員が可哀相でもあるがこれは想定外の上出来のミステリーと言っても過言ではないだろう。

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