”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”クリード チャンプを継ぐ男”(15年)

邦題は”クリード チャンプを継ぐ男”、、そして原題は”Creed"、そのまま書かれると意味は”信条”とか”信念”なので映画のタイトルとしては ウン??と言う印象だ。そのクリードから”アポロ”を連想出来る映画ファンは、、恐らく皆無だろう。

イメージ 1これがそのクリードの勇姿、、此処までくれば99%、映画ファンは誰の事を指しているのかは判るぜ、。

ウィキには名作”ロッキー”のスピンオフ映画と書いてあるがおっとどっこい、スピンオフどころかこれは”ロッキー”として大ヒットした映画から同じように名前をタイトルに据えた”新・シリーズ”にほかならない。”クリード”シリーズ、第一章としてそれ程に力の入った素晴らしい映画に仕上がっている。

無論76年に公開された”ロッキー”、そしてシリーズ全6作を見ていれば40年からの変動が判るしロッキー家の歴史も判るのだがこの”クリード”を初めて見たとしてもこの映画を”第一章”として充分に楽しめる。

今回の主演はクリード役のマイケル・ジョーダンシルベスター・スタローンは助演の立場だが物語は98年、ロスアンジェルスの未成年者保護施設で始まる。アドニス・ジョンソンは手が早く何時も大きい身体の相手と喧嘩が絶えない。そのアドニスを訪ね、養子として引き取ると申し出てきたのがメリー・アンだ。

此処まではボクシング映画なのか”暴力教室”なのか全く判らない。でもそのメリー・アンがかつての”アポロ・クリード”の未亡人だと判って一挙に膝を乗り出す。”ロッキー”では壮絶な戦いを演じ、2ではリターンマッチ、そして3ではトレーナーとしてロッキーを鍛えてくれたかけがいのない親友だ。4ではロシアのドラゴに倒され、帰らぬ人となってしまったアポロ・クリード、、あの”クリード”が愛人に産ませた子供がこのアドニス、、実母を亡くし天涯孤独の身、そんなアドニスを養子として引き取ってくれたって事が判明する。

そして時代は現代へ、、メリー・アンは裕福な暮らしぶり。アドニスもすっかり成人し何やらネクタイ姿で優秀な社員として働いている。そんなアドニスだが週末にはメキシコのティワナへ出向き賭けボクシングに興じている様子。どうもチャンピオン・アポロの血を引くのか、騒ぐのか、ボクシングは彼の生活の一部らしい。

こうなって来ると最初の”ロッキー”で貧困生活を強いられていたロッキーがボクシング界でのし上がる為にミッキー爺(バージェス・メレディス)を訪ね”オレにボクシングを教えてくれよ”と言っていた姿がダブって来る。このアドニスの場合は裕福で何の不自由もないのが大きな違いだしそれが時代の流れかも知れない。

アドニスは折角の仕事を放り出し退職、そして義母には”出て行きなさい”と言われロッキーを探しにフィラデルフィアへと向かうのでありました。オマージュ的場面もセリフも満載だし此処までは快調そのものの展開だ。こうなってからやっとロッキーの登場だ、、今じゃ”エイドリアン”の名前を取ってレストランを営むロッキーのところへたどり着くが最初は何処の誰とも知らぬ若者、、ロッキーは素っ気ない。

レストランの壁に飾られた写真を魅入りながら詳細を語るその若者、、ビビッと来るロッキー、、この辺りは全作品を見ているファンには堪らない展開だ。そしてアドニスがロッキーとアポロがリング上で戦っている姿を見つけ、、”アレは俺の親父さ”、、この言葉にロッキーの頑なな態度が一気に崩れ去ってしまう。

今回はシルベスター・スタローンは正プロデューサーとして名を連ねているだけで監督もやってないし脚本も書いてない、、しかしまあツボにハマった展開だ。もうこれっきゃないだろうと思わせるストーリーだが実に巧い、これは監督ライアン・クーグラーの功績か??何とまだ29歳の若い監督兼脚本家、、恐らくスタローンの意向に沿った、と言うか彼の作風をそのままに継承しているのかも知れない。

終盤、イギリスのリバープールでのチャンピオン戦、義母からのプレゼントだぜ、と言われ箱を開けるとそこにはアポロが現役時代に着けていた星条旗をモチーフにしたボクシング・トランクスが、、この場面には思わず胸が熱くなる。

イメージ 2これがそのトランクス、確か76年がアメリカの建国バイセンテニアル・イヤー(200年祭)だったのでそんな背景からこの星条旗をあしらったトランクスが生まれたんだったと思う。

タイトルが”Creed"と聞いてちょっと引いていたオレが恥ずかしい、、これは映画館へ行きたかった。

シルベスター・スタローンはこの演技でゴールデン・グローブを受賞、納得納得の演技だった。オスカーだって彼に行ってもおかしくなかった、。初期のガンに侵され化学療法を拒むロッキー、”オレにはもう何もないのさ、辛い治療を続ける気はないぜ、、あっちへ行って義兄やエイドリアンと語るのさ”、、その言葉に反発するアドニス、”じゃオレはアンタのなんなのさ??”、、もうこんな場面はワラワラ気味、あのミッキー爺さんの姿がダブってしまったのはオレだけじゃないだろう、。

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