原題は主人公の名前”Billie Elliot”、それっきりなのだが邦題は”リトル・ダンサー”と来た。最初は”う~ん”、と思ったがこれは確かにその通りだし言い得て妙とはこの事じゃないだろか?そしてこれぞ名作だと思っている。
公開されたのがバイセンテニヤルイヤー、当時良く通っていた独立系の小屋で満員の観客と一緒に見ていたく感激した記憶がある。
本質的にはイギリス文化は多くのオージーにとっては根幹だし傾注している住民も恐らく他国より多いだろう。遥々ご先祖様、両親、或いはご本人が移民して来たケースが断然多いのでそうなるとイギリス映画そのものが故郷の”味”かも知れない。
父ちゃんはボクシングファン、ビリーも道場に通っているがどうも好きになれないしイマイチ乗れない、、そんなビリーがバレーに目覚め、父親の反対や経済的に苦しい生活環境を跳ねのけて自身の道を邁進して行くと言うサクセス・ストーリーだ。
クライマックスのシーン、父ちゃんの元を離れて14年が経過している。その大劇場へ父や兄も駆けつけるのだが舞台で”白鳥の湖”の曲に合わせて跳躍するビリー、この場面は素晴らしいの一言だった。何も詳細を語らず、撮さず、ローブを脱いで彼の逞しくなった後ろ姿、そして横顔のアップ、、、共演者が彼の動きを追う眼、そして跳躍。それだけなんだが見事にビリーの成功を表現した名場面だった。
この映画を語る上ではこの映画より数年前に上映された”フル・モンティ”(97年)を忘れる訳には行かない。
此方は主役がもっと大人で同じダンスがテーマでもストリップなのだが、、。
背景はイギリスそして不況に襲われるシェフィールドと言う町、鉄工所を解雇された6人の男たちが悪戦苦闘、何とか生き残りをかけて挑戦するのが男子ストリップと言うお話だった。
この映画もオーストラリアでは大ヒット、映画館で”えっ、まだやっているの?”と言われるくらいのロングランだった。職安の列に並ぶ彼等仲間6人がドナ・サマーのヒット曲、”ホットスタッフ”に合わせシンクロしたようにリズムを取りトム・ウィルキンソンが踊り出すシーンには場内が大爆笑だった、、。
そうなるともう一本思い出す映画は、、、
これになるかな、、時代はもうちょっと前になるが、邦題は”ブラス!”(96年)、原題は”Brassed Off”なんだがやはりイギリスの不況に喘ぐ炭鉱の町、グリムリーでブラスバンドを通じて交流を深めバンドのメンバー全員が強く生きるとはこの事だ、、と証明するまさに感動映画の原点みたいな秀作だ。
主演は今は亡きピート・ポステルウェイトにユアン・マクレガー、、実話に基づいて制作されている。
こうして見るとそりゃ映画のなかでは、、だが不況、解雇、、そんな実社会では全く有り難くない環境を題材にして素晴らしい映画が生まれて来ているような気もする。
リトルダンサーを語っていたのが男子ストリップになり最後は集団演奏になってしまった。しかし何れも語らずに済ませられるそんじょそこいらの映画じゃないしイギリスの不況の時代を乗り越えた秀作トリロジーって事でどうでしょう??