”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”三つ数えろ”(46年)

レイモンド・チャンドラー原作のフィリップ・マーロウを描く推理小説なんだが刊行されたのは39年、原題は”The Big Sleep”、翻訳時の邦題は”大いなる眠り”、それが46年に映画化されて今度は邦題が”三つ数えろ”になっている、、。確かにこのフィリップ・マーロウが放つセリフは重要なんだが”大いなる眠り”が”三つ数えろ”か、こりゃ想定外のタイトルだったな~。

主人公のフィリップ・マーロウを演じるのはハンフリー・ボガード、そしてお相手がローレン・バコールで監督がハワード・ホークスだった。ハンフリー・ボガードは当時人気絶頂、41年に”マルタの鷹”でサム・スペードを演じ、翌年には”カサブランカ”でリックを演じている。44年には”脱出”で始めてローレン・バコールと共演し45年には結婚しているのでこの映画は晴れて”夫婦”での共演だった。

イメージ 1原作も2~3回読んでいるし映画も2回は見ているのだがこれは非常に複雑な探偵推理モノになっている。出だしは富豪の元へフィリップ・マーロウが呼び出され末娘が脅迫されているのでその捜査をしてくれや、、と頼まれる。

この辺りは私立探偵モノのごく普通の出だし、そして長女のローレン・バコールが”さりげなく”出て来る。やはり評価の高い映画はこの導入部だけの脚本からして唸らせる。現代のようにFワードやスラング、、それに卑猥な表現なぞは一切なし、でも的確に相手を引っ張り込んでしまう巧みな会話のオンパレードだ。こんな男女の正統派会話だとホッとするし昨今逆に新鮮に感じるのだ。

字幕製作の諸先生がたもスラングの翻訳、表現には困られるようだがこんな映画の場合はごく普通の会話の中に今度はズバリと相手の核心を突くセリフがあるし単に言葉を翻訳するだけじゃ意味をなさないってケースがあるのでこの時代でも字幕屋さん泣かせかも知れない。でもこれはやたら”F”だ”S”だと考えるより断然翻訳のやりがいがあると思う。

79年に今度はロバート・ミッチャムを主演のフィリップ・マーロウに据えてリメイクされているのだがその時の邦題は”大いなる眠り”だった、、ややこしいったらありゃしない。お陰で日本では未公開だ。配役はサラ・マイルズやオリバー・リードにリチャード・ブーン、ジェームス・スチュアート、ジョーン・コリンズと豪華な顔ぶれだったんだがイマイチ、眠そうなロバート・ミッチャムを見ているとこっちまでタイトルに釣られて”大いに眠く”なるような映画だったっけ、、。

ボギーがフィリップ・マーロウを演じたのはこの一本だけ、”マルタの鷹”では同じ有名な私立探偵サム・スペード役だったがこのハードボイルドさは彼の代名詞となっている。後年色々な私立探偵がスクリーンに登場して来るがやはり彼のしたたかさと”女性に人気のある”探偵はそんなに多くはいない。個人的には私立探偵、ルー・ハーパーを演じたポール・ニューマンそして”チャイナタウン”でJJゲティスを演じたジャック・ニコルソンがベスト・スリーかな??

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