”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”5時から7時の恋人カンケイ”(14年)

おいおいおい、、、ナンじゃいこの邦題は??これじゃ”5時から男が”何処かから出て来て恋に落ちる??そんなおちゃらけタイトルじゃないか?それに”関係”をカタカナで書くなよっ!コメディの積もりか?

原題はそのまま”5 To 7”、何でそのままじゃいかんのか?まあ確かにこの原題は昔の”9 To 5”と言うコメディタッチの映画を思い起こすのだが、。良く考えると5時から7時と言うのは微妙な時間帯だ。勤務中でもないし食事時でもないし、、如何にも中途半端な時間帯である事は間違いない。

しかしこれはFOXの解説を担当している長年お馴染みのマーガレットおばちゃん絶賛の映画でした。舞台はニューヨークだがフランスの香りがプンプンするフランス映画と言っても可笑しくない。主演はアントン・イェルチン(16年に僅か26歳で自宅前で事故死)とフランス映画界の切り札的美女、ベレニス・マーロウ(ボンド・ガールとして”スカイフォール”に抜擢)、脇にはフランク・ランジェラ、グレン・クロース、そして監督はテレビドラマを中心に撮っているビクター・レビンだ。

イメージ 1一言で書けば5時から7時まで自由になる人妻と若い、作家志望の男の子の不倫ものなんだがこれはそんな簡単に一行で説明出来ないもっともっと奥の深いロマンス映画なのです。

ブライアン(A・イェルチン)は24歳、作家志望で書く事が趣味みたいな若者、父や母(F・ランジェラとG・クロース)は割と裕福なリタイア組で息子の将来を気にかけながらも無理強いはしていない。そのブライアンがニューヨークのあるホテルの前を通りかかると館内から外へ出て来てタバコを吸っている美女に目が留まる。自分も通りを渡り隣に立ちタバコに火を点ける、、そんな出だしだ。

その彼女がアリエール(B・マーロウ)で毎週、金曜日には此処で友人たちと逢い食事を、そして必ず外へ出てタバコを吸うそうな、、そんな彼女は35歳、結婚していて子供も二人いる、、さりげない脚本の中にそんな情報が詰まっていて彼女のセリフとして語られていく、おお~、、なかなか良い展開でないの??

最初はちょっとタイトルからして引いていたのだが先のマーガレットおばちゃんがやたら賞賛しているのでもうちょっと見るかな、、、と。

不倫ドラマの割りにはまるで激しい描写も辛辣なセリフもなく物語は淡々と毎週数時間逢う二人を描く事に終始する。これが”5時から7時まで”と言う意味でした。

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この作品でのベレニス、チョイと雰囲気がモニカ・ベルーチ風なんだがフランスの香りが漂う79年生まれの生粋のパリジェンヌだ。”スカイフォール”ではマカオのカジノ場面で登場、結局007に気を許してしまいシルヴァとボンドの射撃の的になってしまった。

この映画では出ずっぱり、もう9歳年下のブライアンを狂わせる美貌は素晴らしかった。その後、映画はブライアンの両親や執筆稼業でちょっと芽が出そうになる場面、新人賞受賞をきっかけに大手の出版社が独占出版を申し出て来たり、アリエールのご主人や子供たち二人も登場、彼女の火遊びだった気持ちに微妙な変化が、、そんな感じで進んで行く。

やはりニューヨークはこんなロマンス映画でも背景としては抜群だ。かの”ティファニーで朝食を”でもそうだし季節感を伝える手段としてセントラル・パークの存在はどうしても外せない。この映画でも出だしと最後にこの公園、そのあちこちに配置されているベンチ、これがかなり重要な意味を持って出て来る。そのベンチは色々な人たちの寄付金で設置されているのだが背中部分にベンチを寄贈した理由が刻印されている。その夫々の言葉が人生そのものを表していると作家殿、ブライアンのナレーションが入るのだ。

ネタバレになるが最後はちょっと意外な展開に、新人賞に輝き喜び100%のブライアンが夜中に指輪を買いに行く。そしてその大枚6000ドルを叩いたエンゲージリングを持って翌日の”5 To 7”の間にホテルの一室でアリエールに結婚を申し込むのだ。無論、子供二人を引き取り一緒に育てよう、もし君が欲しいなら二人の子供も作ろう、だから僕と一緒になって、、、ともうこの辺りは見ていてオロオロしちまうよ。そして又、彼が差し出したこの指輪が最後になって生きてくるのです、、、イヤ~、そんなに期待せずにちょっとだけ見るつもりが結局最後まで、、しかもラストは立ち上がれなくなる程に魅入ってしまった思いがけない(シツレイ)秀作でした。

以下書いちゃいます、、、、結局アリエールは翌日スーツケースを持ってこのホテルへやって来ると約束する。そしてその晩、ブライアンのアパートへ思いがけずご主人が訪ねて来るのだ、、そこで手切れ金だか(良く金額は見えなかった)の小切手を残していく。翌日、自分の荷物を持ってホテルへ出向くブライアンだがドアマンからアリエールからの手紙を手渡される。それには返却された指輪と共に長い手紙が、、。

そして念願が叶って彼の執筆した本が出版され本屋のウィンドーに飾られている様子が、、それを通りすがりの美女が見つけて微笑む、、更に年月が経過、恐らく5年以上が経過、ブライアンは結婚して一人息子もいる。その三人家族で訪ねたグーゲンハイム博物館、、入ろうとすると向こうから4人連れの家族が出て来る、。偶然出会った二人と夫々の家族、みんな幸せそうだ、っとアリエールが何気なく無言で右手の手袋を外す、、、っと其処にはあの晩、ブライアンが夜中にディオールで買った指輪が光っているのです、。うっ、ヤバいこの場面で不覚にもジジイの目頭から、目薬を入れ違ったのか??あの時、一旦返された指輪だったがドアマンに”もし彼女が今度来たら渡して、”と言い置いていたのです、ドアマンやるじゃん、、猫ババせずにちゃんと彼女が次回来た時に渡してくれたんだ、。

いや~、ラストシーンには思いがけずやられちまった、、こんな展開は良くあるんだが、、ワタシがこよなく愛する”Brides"と言うギリシャ映画でもお別れの場面で彼女が片耳から外したピアス、、数年が経過し立派な写真家として成功したダミアン・ルイスが自分が撮った写真が表紙を飾る店頭販売の店で微笑み、カメラがアップになると、、、彼のネクタイを留めているのがこのピアスだった、、あの場面は一挙に涙腺崩壊だったっけ、、それに準じる場面でした。


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