”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”完全なる報復”(09年)

原題は”Law Abiding Citizen"と言う、即ち”法を遵守する市民”って事になるのだが邦題では”完全なる報復”、、いや~、これは巧いタイトルだな。

要するに善良で幸せな家庭を持つ市民が突然侵入して来た二人組の強盗に愛する妻子を殺害され自分も重傷を負っちまう、、ジェラルド・バトラーがその夫になるのでこりゃ身体を張ってのアクション満載の復讐劇か??と思ったのだが、、ちょっと変化球だった。

確かに復讐に燃えるのだがそれは単に殺人犯に向けたものではなく検察から司法の制度、更には裁判そのものに対して怒りを爆発させるのである。余りにも派手にやり過ぎるので途中からもう復讐とは何ぞや、、になっちまうのだがフィラデルフィアを舞台にしたこれは”完全なる報復”なのだ。

イメージ 1復讐に狂うのはクライド(G・バトラー)
で相対する検察官がニック(ジェイミー・フォックス)だ。

クライドの家に押し入った犯人二人は捕まるのだが此処で例の司法取引、、本当に手を下して殺害したヤツが取引に応じて仲間を裏切り、そっちは死刑、そして本人は取引のお陰で10年の禁固刑に、、。

幾らクライドが”そうじゃない、殺ったのはあっちの奴だ、、”と検察に申し出てても”お前は腹を刺されてて意識が混沌として気絶したので最後までは見てないだろう?”と全く聞く耳を持たない。そして10年の歳月が、、、。

クライドはこの10年を費やして”報復”に向かって真っしぐら、準備万端だ。そりゃ犯人が一番憎いのだがそれを許し司法取引を持ちかけたニックとその理不尽な判断で保釈を許してしまった裁判官、それに法制度そのものが許せない。ちょっとえげつない描写もあるがクライドの気持ちは良く判るし此処までは共感出来るのだ、、そして死刑囚の執行に際し薬品に細工、悶絶の苦しみを味合わせるのだ。次は保釈になった真犯人、、この憎っくきヤツを捕獲、そして生きながらに惨殺してしまう。

当然、彼が疑われ容疑をかけられて捕らえられるのだが一切痕跡も証拠も残しておらず自白を強要されて召喚される。検事は何とか自白をと促されるが”自分が殺害した”とは一切語らないのだ。”そりゃこの歳月、頭の中では復讐を誓ってましたよ”、とか”殺してやりたかった”とは言うものの”自分が殺りました”と全面降伏ではないのだ、それに物証も何もないし、、。

そうやって自分が10年前に置かれた状況にすり替え裁判官の前でも証拠不十分との判断でまんまと保釈か、、と言う展開になる。その”報復”までは良かったんだが今度はその矛先が司法の場に向いてしまう。当時裁判を担当した犯人側の弁護士や司法取引を持ちかけた検察側の人間が標的になり市長やら市庁舎すべてがそのターゲットとなって行く、、そこまでやっちまうともう歯止めがきかない。

そんなでニック検事対クライドの報復合戦でクライマックスを迎えるのであります、、、殺人犯人であっても弁護士はいるしその取引によっては刑が軽くもなるし保釈だってあり得る。この主人公にしても目の前で犯行に及んだ奴はさっさと仮釈放、、そして仲間で見てただけの奴が死刑、こりゃもうナンとも納得出来ないって事は良く判る。そして復讐すれば又その近親者が恨みを持つ、、この連鎖は断ち切れない、しかも裁判所の判事でさえ疑わしきは罰せず、、。そんなクライドのやるせない気持ちをアクションを封印したジェラルド・バトラーが上手く演じていた。

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