”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”カサブランカ”(42年)は名作か?

このYahooさんの”知恵袋”サービス、良く”洋画”カテにお邪魔するのだが先日「”カサブランカ”ってそんなに名作なんですか?」と言う質問を見つけてしまった。じゃあ”アナタが名作と思う映画って何っ?”っと逆に聞いてみたくなったのだが”トランフォーマー”や一連の”ターミネーター”ですよ、、何て言われたら白けるのでヤメておいた。まあ映画なんてのはその人の基準で楽しめりゃよいのだし性別、世代毎に”これがワタシの生涯サイコーの映画さ”、、とあって当然だ。

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でもこの”カサブランカ”、ジャンルとしてはラブ・ロマンス、、アクション系じゃないし無論CGや特撮も使われていない。制作されて公開されたのが42年なので映像はモノクロだし音もモノ、、カメラだって35mmのスタンダードだ。それに制作費だって当時のお金で一億円もかかっていない、、これは凄い事である。

背景になっているのが北アフリカ、当時はフランス領だったモロッコカサブランカだ。しかしこれは考えられない事だが撮影は全編、アメリカ国内はアリゾナ州の砂漠、そしてワーナーのスタジオ内にセットを組み撮影されている。なので主演のハンフリー・ボガードイングリッド・バーグマンも誰も現地へは出掛けていない、、。日本ではこの映画が制作さている頃はビルマに侵攻中、そして太平洋ではミッドウェイ海戦(6月)の真っ最中、アメリカ本土ではこんな映画を撮影しながら太平洋へ艦隊を送り込んでいたんだ、、。

そしてこの映画の名作たる所以だがまず特筆すべきは原作がないのだ。ましてや史実や事実に基づいたストーリーでもないので原案は全くの白紙にオリジナル・ストーリーとして描かれている。当初はどうも舞台用だったらしいのだがその構図が出来てから脚本家が台本を仕上げている。

この映画の大分後に完成したやはり名作と称される”地上より永遠に”(53年)は真珠湾を背景にしているがジェームス・ジョーンズと言う人が書いたベストセラーを原作としているので脚本家は大筋はそのままで映画用に本を転用しているのだ。この”カサブランカ”はジャンルとしては”戦下に咲いた”ラブストーリーなのだがこれきゃないと言うほどにオリジナルさが満喫出来るのである。

次にはアメリカ映画協会(AFI)、の歴代名セリフトップ100に6つもランキングされているようにその”決め台詞”の良さがあげられる。脚本の良さにも繋がるのだが要所要所に散りばめられた独創的な台詞群、これはやはり優秀な脚本家諸氏の腕のみせどころではないだろうか?

イメージ 2その台詞に応えられるのが優秀な配役陣、ハンフリー・ボガードなりイングリッド・バーグマンである。彼らの演技なしではどんな素晴らしい脚本でも生きて来ない、そして効果的な音響、撮影技術、、撮影されたフィルムを繋ぎ合わせて不要な部分はカットする編集能力、そんな色々な分野をオーケストラの演奏さながらに指揮を取り一本の長編映画にまとめて行く、、それが監督の役目だ。マイケル・カーティスと言うハンガリーはブタペスト出身の監督がプロデューサーのジャック・ワーナーに抜擢され監督として指揮をしたのが50歳台の働き盛りだった。

上記の何れが欠けても秀作にはなり得ない、折角設定が良くても有り得ない展開になったりストーリーに無理が出たり、台詞が陳腐だったり、或いは監督が全てを把握していなかったり、、こりゃ編集に時間を掛けていないなと判るのだ。まあ誰しも最初から駄作を作ろうとは思ってもいないのだが資金的に余裕がなく取り直しが出来ないとかフィルムを端折ったり、、そんな事が残念な結果になるのだ、、。

そんな訳で題材から始まって終わりのタイトル・ロールに”The End"の表記が出て来るまですべてが巧く、良い所へ収まった映画と言えば良いのだろうか?反戦映画としてのメッセージも込められているしラブ・ロマンスとは言え最後までエルサはどうするのさ、、パリのやり直しは??と目が離せないしリックはこれ以上ないだろうと言う格好良さ(チョイと煙草を吸いすぎる)、やはり半世紀だろうが100年が経過しようがこの映画は名作である事に変わりはない。

今の映画ファンにはアクションもないしガンプレイやカーチェイスもない、特撮だってないしノリノリの音楽だって皆無、あるのはサムがピアノを弾く、”アズ・タイム・ゴーズ・バイ”だけさ。じゃあ、退屈だよねぇ~、、でもこの2017年に100億円からの制作費を掛けて作ってもその99%はこの映画を越えられないのさ。

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