”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”セヴン”(95年)

モーガン・フリーマンブラッド・ピット、グウェネス・パルトロー主演、監督はデビット・フィンチャーによる猟奇殺人ミステリーの傑作だ。原題は”Se7en"、実はこれまで3回くらい途切れ途切れにしか見ていない、今回やっとFOXさんで放映してくれる事になりやっと邪魔されることなく全編通しで鑑賞した。

やっぱり想像してた通りかなりエグい、、監督のデビット・フィンチャーは”ベンジャミン・バトン数奇な人生”(08年)とか”ソーシャル・ネットワーク”(10年)みたいな”正統派”映画を撮ると思うと”ドラゴン・タトゥーの女”(11年)やこの”セヴン”の様な複雑怪奇な映画や心理描写に凝った”ゴーン・ガール”(14年)のようなミステリーも撮る推理ものオールマイティな監督だ。画面作りも一種独特のモノがありリドリー・スコット監督にも共通する”雨”が大好き、、しかも暗いのだ。これは雰囲気が暗いって訳じゃなく映像で活躍する人たちの背景、トーンが暗いのだ。

この”セヴン”でも終始雨、雨、雨のニューヨークが舞台でもうSFの世界と言われてもおかしくないのだ。サマセット刑事(M・フリーマン)はあと一週間でリタイアの古株、ミルズ(B・ピット)は若くピンピンした相棒で今度初めてコンビを組むことになるのだが、、事件が発生、そこから複雑怪奇な殺人事件の渦中へ、そして奈落の底へと引きずり込まれて行く。

殺人はキリストの”7つの大罪”をモチーフに実行されて行く連続殺人事件、二人の捜査の結果段々に背景が見えてくる、即ち、;

GLUTTONY(暴食)   イメージ 1
GREED(強欲)
SLOTH(怠惰)
LUST(肉欲)
PRIDE(高慢)
ENVY(嫉妬)
WRATH(憤怒)

もうこの映画とて22年も前の映画、モーガン・フリーマンブラッド・ピットも実に若いのだそして派手なアクションはないが頭脳戦に終始する。脚本(セリフ)は勿論だが映像が実にリアルだ、それに原作がある訳じゃなく映画制作用に書きおろされたものが巧みで最後まで息を抜くことなくダレる事なく真剣に見入ってしまった。


イメージ 2
犯罪捜査ものとしてはジャンル別にするとこれは”羊たちの沈黙”と同系列かも知れない。最後にどんでん返しがあって思いがけない真犯人が浮上する、、と言う手法でもないし見ている側は誰が犯人かもましてや動機も判らない、、この”セヴン”では”7つの大罪”がテーマなので殺人はその大罪に沿って選ばれ、それなりの手法で命を奪われている。うん、でも最後に犯人が判明したのは5人が殺された時点でまだ”大罪”は2つ残っているぞ、、。これが終盤、”予期せぬ出来事”となって一気にクライマックスになだれ込んで行くのです、、。

グロい表現は好きじゃないし血飛沫が飛ぶようなものは絶対にダメだ、。でも画面の刑事さんと一緒に真犯人を追いかける、そして動機を解き明かす、そんな推理小説的手法はこよなく好きだ。モーガン・フリーマンブラッド・ピットもそして最後に登場するケヴィン・スペイシーも実に巧いのだ、これは期待通りでメシを抜いてでも見るべき秀作って事でガッテンだ。