”めぐり逢い”(57年)
さてこの映画は、、ジャンルからいけば究極の”ラブロマンス”だが英語的表現で行くと”ティアージャーカー”、英語で書くと”Tear-Jerker"となる。まさに”涙を絞りだす”お涙頂戴映画の典型と言うべきか?
レオ・マッケリーと言う人が監督も脚本も書いているのだが面白いのは39年にも制作しているのでこの57年度版は同じ監督の手による”リメイク”になる。その時の原題は”Love Affair"で邦題は”邂逅”と書いて”めぐり逢い”と読むそうだ。オリジナルはシャルルル・ボワイエにアイリーン・ダンと言う女優さんだった。ストーリーはほぼ同じ、最後はやはりエンパイヤ・ステートビルの展望台が待ち合わせの場所だ。

時系列から行くとアメリカで作られた39年度版の影響を受けて脚本家の菊田一夫が手を加え設定や背景を置き換えて戦後の混乱期を舞台にした。名も知らぬ二人が”半年後に数寄屋橋で会いましょう”となるのだが日本版はすれ違いすれ違いの連続で見ている側はハンカチで涙を拭う前にギシギシと握り締める事から始まったようだ、。

この映画が今公開されたなら邦題は恐らく”ラブ・アフェアー”、、或いは”アフェアー・トゥー・リメンバー”になっているんじゃなかろうか??当節、この原題から”めぐり逢い”などと思いつく担当者は絶対に居ないだろう、、と断言出来るぜ。それ程に当時の配給元の入れ込み意欲を感じる素晴らしい邦題だ。
更には93年にトム・ハンクスとメグ・ライアンで作られたのは”Sleepless In Seattle"で邦題は”めぐり逢えたら”となりやはり此処でもニューヨークのエンパイヤ・ステートビルが目的地だった。
そして今度は94年には”Love Affair"の原題に戻り、邦題は”めぐり逢い”で完全なるリメイクのリメイクとなりアネット・ベニングとウォーレン・ベイテイのホンモノ夫婦が主演を演じた。これにはおばあちゃん役でキャサリン・ヘップバーンが出ているのだがこれが最後の映画出演になってしまった。

94年度版は主人公は元プロフットボールの選手で今はキャスターのマイク(W・ベイティ)に、、テリー・マッケイ(アネット・ベニング、デボラ・カーも同じ役名)、そして時代を反映してか船旅じゃなくて飛行機、それがエンジン不良でとある島に着陸、それをロシア船籍に拾われ船旅となるところからは同じ設定だ。
かようにこの映画はアメリカ人も大好き、、まあこれだけリメイクやら同じ設定で作られているんだから恋愛ものの常道として今後もリメイクされるのではなかろうか?
しかしどんな展開になるのかはもう100回も見て知ってはいるのだが最後、どうしてもソファから立ち上がらないテリーを不審に思い寝室のドアを開けるとその壁にはニッキー(C・グランド)が書いた絵がかかっている。そして瞬時にあの時、エンパイア・ステートビルの表通りで何が起きたのかを悟る場面、、やっぱり泣かされた。