”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”Never Enough”-”グレイテスト・ショーマン”より

いよいよと言うかやっとと言うべきか日本での公開が来週16日に迫って来た。オーストラリアでは昨年のクリスマス明けに公開になり大ヒットしている。現に近くのシネコンの大スクリーン館ではもう2ヶ月近くが経過しているにも関わらず連日6回の上映でまさにロングランになっているのだ。

しかし日本ではナンで年末、或いはお正月第一弾で公開されなかったのか?近年の大作、話題作=世界同時配給が建て前とするとタイミングを外した気がするのだが、、それにオスカー戦線には全くカスリもしなかった、、これも不思議な現象だ。昨年の”ラ・ラ・ランド”があれだけ絶賛されて各賞にもノミネートされた事を考えるとこの映画の扱いにはかなり不満が残る。ともあれ、、、;


これはこの映画のハイライトシーンとも言える箇所でジェニー・リンドに扮したレベッカ・ファーガソンがローレン・オールレッドの声で歌い込んだ”Never Enough"(満足出来ない)と言う曲です。ちょっと補足するとバーナム(ヒュー・ジャックマン)が人生最大の賭けとしてこの伝説的なオペラ歌手、ジェニー・リンドを始めてアメリカに招待した場面です。

イギリスのヴィクトリア女王が開催したお茶会でバーナムがジェニーと知り合いその魅力にイチコロ、、遥々アメリカへ招待し新企画として各地を公演して回る準備を整えその最初のステージです。それまでのバーナムは所謂”サーカス”の興行をしていたのだが評論家に”サーカスは見世物でキミは本物を知らない”と言われた事に反発しじゃあ見てろよ、今度は本物の歌手を帯同させようと企画したもので彼に取ってもこれは一世一代の賭け、真剣勝負だった。

果たして観客を満足させる事が出来るか不安でいっぱいのバーナム、、そしてそれを観客席から見守る奥さん、ミッシェル・ウィリアムズと二人の姉妹たち、、奥さんのチャリティは旦那がジェニーを見る目が気になってしょうがない、ひょっとして私を捨ててあっちへ行っちゃうのか、、そして舞台の裾ではフィリップ(ザック・エフロン)とアン(ゼンダヤ)が指を絡ませる、、、ところが客席にいる両親にそれを見咎められ思わず絡めた指を外すフィリップ、去っていくアン、と登場人物の背景、立場がこの曲と共に説明されて行く重要な場面になっているのです、、。

そんな映画のエッセンスが凝縮した場面とこの素晴らしい歌声が一体となり映画は後半戦に突入して行く、。無論脚色はされているのだがこのジェニー・リンドもバーナムも実在の人物、このアメリカ公演を成功裏に終え、ジェニーはヨーロッパへ帰ったそうな、スウェーデンの歌姫としてその後結婚、子供も3人授かり晩年はイギリスに居住、1883年に67歳で亡くなっている。こんなロマンが詰まった映画でこの逸話一つからでも別の映画が撮れたんじゃなかろうか??

ともあれこの場面が今だにアタマから離れない、、ネバー、ネバー、、ネバー、、ネバーともう2ヶ月近くが経過しているのにこだましているのだ。ここに書けば少しは軽減されるんじゃなかろうか?