”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”家へ帰ろう”(17年)

やっと札幌で映画館デビューを果たせた。そのタイトルは”家へ帰ろう”、、うん、こりゃタイムリーな邦題だ、オーストラリアへ帰って来いよ~、みたいな*1
英語圏で付けられたタイトルは”The Last Suit”となっていた。まあそれの方がより原題に近いし内容的にも的確なんだが、。

スペインとアルゼンチンの合作で舞台はアルゼンチンからスペインを経由してパリからドイツを超えてポーランドワルシャワへ、かのコルチャック先生の故郷へ主人公が旅するロードムービーだ。

配役は何れも馴染みがないのだが主演で88歳の爺さんにミゲル・アンヘル・ソラ、そして旅で出会う人たちが機内で会ったマルティン・ピロヤンスキー、マドリッドのホステルの女主人がアンヘラ・モリーナ、、ドイツの地を踏みたくないと駄々をこねる主人公を助けるのがユリア・ベアホルト、看護師として最終目的地まで同行してくれるのがオルガ・ボラズともう配役に関しては全然知らない俳優さんたち。

イメージ 1子だくさんで孫達にも囲まれ幸せそうな生活を送るアブラハムホロコーストの生き残りだ。家族を惨殺されたった一人逃げだす事の出来た彼は戦争末期に匿ってくれた命の恩人を訪ねて遠くワルシャワまで旅するのだがドイツの土地は踏みたくないとごね捲る頑固さで周りと妥協するのが大の苦手。

そんな偏屈爺の性格が色々な人に助けられ段々と尖がった性格が穏やかになっていく、と言うか心を開いていく。

この辺は主演のミゲル・ソラの独壇場、本当にあんな性格なんだろうと見ている側に思わせるのだ。途中マドリッドのホステルでは泥棒に入られ全財産を盗まれてしまうがそれ以外は出会う人たちは皆さんとても親切だ。最後、看護師役で出て来るゴーシャは実に魅力的な美女だし入院していたワルシャワの病院からウッチと言う中心部の都市まで運転して連れて行ってくれるのだ、。

時代が交錯し時系列じゃないところは最近の傾向なんだが個人的にはもうちょっとホロコーストを逃れて来たミゲル爺さんが父親の弟子だった仕立て屋の息子に匿われた場面を1~2分延長して欲しかった。エンディングの演出もあっけなかった、、遠路同行してくれたゴーシャだって折角送り届けた自分は一体どうして良いのか判らなかったし、久し振りの映画館でもっと泣かせてくれるもんだと期待しちまった。

しかしこの札幌の映画館、ごく普通のビルの中で狸小路を抜けた場所、窓口に並んでいる人たちはほぼ全員が1000円札一枚を握りしめている。ワタシは一応免許証とシニアカードを手にしていたんだが窓口のおばちゃん、、ナニも聞かずに”ハイ、1000円です”だと、、やはりどっから見てもシニアなのか?

それとこれはオーストラリアじゃ絶対にあり得なかったのだが上映が終わり、エンドロールが出ている間、ずっと、、100%の観客が席を立たないのだ。館内のライトが点灯されないって事もあるのかこれにはビックリしたなぁ~、、日本全国何処でもそうなんだろうか??トイレを我慢しているシニアっていないのか??

ジャンルで行けば”数あるロードムービー”、中でもシニア主演に限定すると、、クリストファー・プラマーが主演した”手紙は覚えている”、これはナチスに殺された友人の復讐を遂げる為に旅に出る。それに”ネブラスカ/ふたつの心をつなぐ旅”、ブルース・ダーン爺が宝くじが当たったと信じ込みモンタナ州からネブラスカ州を目指すロードムービーで此方はオスカーにも複数ノミネートされた。そして此方はスペイン/アルゼンチンの合作で英語圏の映画じゃないのだがトップ・スリーにランキングさせよう。

エンドロールの最後までじっと座って見てから一歩外へ出るとマイナス5度とかで雪が舞っていたがその雪を溶かすようなホッコリするような映画だった。









*1:´∀`