J:COMのタダで見れる洋画を検索していたらその”太陽がいっぱい”に巡り合ったそしてそのまま118分を固まって見てしまった。日本のテレビ画像で見たのは実に久し振りじゃなかろうか?原作はパトリシア・ハイスミスでアメリカ人、その映画化権を手にしたのがフランス人のルネ・クレマンでそれをイタリア&フランスの合作として制作している。
”ああ~、最高だぁ~、、”
”セニョール、、リプリーお電話ですよ~、、、”
見てて忘れていた訳じゃないのだが配役はフランス人だが配役名はフィリップ・グリーンリーフとトム・リプリーとなっているし両名ともサンフランシスコから来ている。グリーンリーフ家はアメリカでは造船業を家業とする由緒ある一族、トムはその親父さんに5000ドルの報酬提供を受けてサンフランから息子を連れ戻しに来たんだった。
それが吊るんで遊びまわるうちに何時かトムはこの自由奔放に遊びまわるフィリップが憎らしくなる、、それに恋人のマルジュ、、彼女の報われない愛に同情していた事も理由になるのだがヨット上で全く想定外に殺人を犯してしまう。
この辺りのルネ・クレマン演出は実に見事だ、、何気ない背景からとっさに犯行に及ぶトムの描写がまさにドキュメンタリーを見ているように描かれる。しかしその肝心のトムは育ちも悪く、教養もない、、最初の殺しの後はもうやる事が後手後手で全く計画性はないのだ、そりゃ一生懸命グリーンリーフのサインを真似はするのだが徐々に話が綻んで来る。しかもよせば良いのにフィリップが定宿としていたホテルに泊まるのでこりゃもう知った顔に遭遇するのは時間の問題だ。それからはもう行き当たりばったりで何とか追及を逃れようとするのだが、、幾らこの時代でもそうは簡単に自分の描いたストーリー通りには進まない、。
そんな展開になって行くのだが設定はアメリカからやって来た道楽息子道中って事になり原語は殆どがイタリア語とフランス語になっていた。確かアラン・ドロンはミケランジェロ映画でもイタリア語を喋っているが余り得意じゃなかったんじゃないのか?この映画でもイタリア語のセリフがあるがフィリップとマルジュとはフランス語での会話だった。
そうなるとリメイクで作られたマット・デイモン版の方がより原作に近い設定ではないのか?99年版はアンソニー・ミンゲラ監督で他の配役はジュード・ロウそしてマルジュにグウェネス・パルトロウだった。無論、セリフは英語だったしそれなりに完成度は高かった、。このリメイクは”Telented Mr. Ripley”と原作はそのままだったが邦題は”リプリー”だけ、で何処にも太陽は出て来ない。
でもやはり何回見てもオリジナルは超えられないし超えちゃならんのだ。金持ちの御曹司が教養のない貧乏青年をたぶらかす、、それも自分の婚約者を見せびらかすようにして、そしてその背景は真っ青な青い海、あの時代あの設定、やはりアラン・ドロンを一気にスターダムの頂上にのし上げた理由に納得出来る映画である。