”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

最後から三番目のジェッシー・ストーン


原作はロバート・B・パーカー、最初に手にした翻訳本はスペンサーと言う私立探偵を主人公にしたもので70年代の後半だった。その後、早川書房から出版された文庫は30冊以上にもなったがその殆どを読破した。舞台は何時も作家殿の出身地、ボストン近郊でこのスペンサーは一人称で語られる実にハードボイルドな探偵さんだった。その長いシリーズに時々出て来るのがジェッシー・ストーンで彼は遠く西海岸のロスからボストンへやって来てパラダイスと言うちっこい架空の田舎町へ落ち着くのだ。

そのジェッシーが独立して”警察署長”としてデビューしたシリーズが単独で映画化されこれまでに合計9本が制作されている。中にはオリジナルの原作がなくていきなりホールマークとCBSが共同で制作しているものもあるのだがそれも不定期で今後は原作者亡き後、ジェッシーは一体何処へ行くのか?

現在9本制作されているうち最後から三番目が先日、AXNミステリーチャンネルで放映された。以前はちゃんと副題として”奪われた純真”となっていたのだが今回は”警察署長ジェッシー・ストーン #7”となっているだけだった。又、見ちゃったのだが今回、字幕付きで見るのは初めての体験、さてあの独特のセリフ回しがどうなっているのかかなり心配だったが実に的確にしかも打てば響くような会話の応酬で流れが寸断される事もなく満足出来る翻訳だった。

この”#7”ではジェッシーはパラダイス町の評議会から早期退職を迫られてしまうがそれにもめげずある少女を巻き込んだ殺人事件を単独で捜査していく。ジェッシーの後釜に据えられた若い警察署長は有力な評議会メンバーの息子で、どうやら自分の息子を署長に据えたくてジェッシーに難癖をつけて追い出したようだ。しかしこの息子がまったくの能無し、捜査を急ぐあまりロクに検証も裏付けも取らずさっさと手柄にしてしまいたいのだ。

そんな展開で今回も忠犬レジーが何時もジェッシーの傍に座り最後の危機一髪場面でもちゃんと言われた通りにクロゼットに隠れている。シリーズ当初はヴィオラデイビスが署長を助ける忠実な部下だったがその後、キャシー・ベイカーになっている。

イメージ 1兎に角、シリーズ全編を通してプロット、演出、脚本、撮影、音楽、演技陣とすべてが的確に収まりその辺の劇場用公開映画の出来は完全に超える秀作に仕上がっているのだ。

それに若い時はさほど魅力的に感じなかったトム・セレックが実に渋くて良いのだ、、このジェッシー・ストーン企画も彼が主体になりプロデューサーとして活躍しているし加齢と供に新境地を開拓し、派手さはないものの実にリアルな人物像を確立した手腕には驚かされる。

次の新作(10作目)はとうに企画立案され19年度中には撮影開始、年末には公開、、と言われていたのだがもう一年以上も中断されたままになっている。恐らくこれはトム・セレックがニューヨークを舞台にした人気シリーズ”ブルー・ブラッド”の撮影で忙しいからだろう、、何せあっちはニューヨーク市の警視殿でずっと偉いしレーガン一家全員がお爺ちゃんが元警視総監、息子たちが刑事さん、お巡りさん、そして長女が検察主席検事なのだ、、それが現在シーズン9に突入している。これじゃ当分ジェッシーはムリか?