この映画の原題は”The Thomas Crown Affair”、それを内容を重視した邦題、”華麗なる賭け”に、、60年代の後半はこの”華麗”ってのが一種のキーワードだったのか他の邦画や舞台でも多く使われていた気がするのだが実に巧い邦題だった。
後年、今度はそのまま手抜きで”トーマス・クラウン・アフェアー”と言う邦題でピアース・ブロスナンとレネ・ルッソ主演でリメイクされたがこっちは邦題が悪かったのか折角の007俳優の登板でも全然ヒットしなかった。何せヒット性の当たりを前進守備してたライトがそのまま好捕して素早く一塁へ返球、ランナーはライト前ゴロ一塁アウトみたいな映画だった、、。レネ嬢も出演料に上乗せ20万ドルでおっばいショットと奮闘したんだがこれもウッソー、、みたいな結果に。脱がなきゃ出してくれないし脱いだら今度は叩かれる、、そんな残念な結果だった。
そのオリジナルのスティーブ・マックイーン版、最後の最後にどんでん返しがあり愛するヴィッキーに電報を託す、その文面は、、;
トーマス:Left early. Please come with the money... or, you keep the car. All my love, Tommy. (先に行く、現金と一緒に来てくれ、、或いは車を取るか、、。愛するトミー)
となっているこれは劇中のセリフではないのだがこんな短い文面にトミーがヴィッキーを信用し、全てを託した思いが込められていてヴィッキーだけでなく観客一同がホッと胸をなでおろすエンディングだった。この車を取るか、、と言うのはロールスロイスのシルバーシャドウでその価値は一軒家が買える程、それを自分のものにして俺を摘発するか?と問われているのだ、。
それともう一箇所、この映画には避けては通れない歴代トップにランキングする程にエレガンスでセクシーな名場面があるのだ、、;
これは保険調査員に扮するヴィッキー(フェイ・ダナウェイ)が知り合ったばかりのトーマス(S・マックイーン)が真犯人だと確信して近づき、始めてチェス盤に向かい合うシーン、僅か7分のこの場面がこの映画の全てと言っても良い程の効果をあげている。
何故かリメイク版でもこの時のオリジナルソング(ミシェル・ルグラン)の”風のささやき”がエンディングで使われていた。それにフェイ・ダナウェイもカメオ出演でちょこっと顔を出していたっけ、、でもナニをやってもオリジナルの良さは超えられなかった。