この映画の原題は”The Thomas Crown Affair”、それを内容を重視した邦題、”華麗なる賭け”に、、60年代の後半はこの”華麗”ってのが一種のキーワードだったのか他の邦画や舞台でも多く使われていた気がするのだが実に巧い邦題だった。

そのオリジナルのスティーブ・マックイーン版、最後の最後にどんでん返しがあり愛するヴィッキーに電報を託す、その文面は、、;
トーマス:Left early. Please come with the money... or, you keep the car. All my love, Tommy. (先に行く、現金と一緒に来てくれ、、或いは車を取るか、、。愛するトミー)
となっているこれは劇中のセリフではないのだがこんな短い文面にトミーがヴィッキーを信用し、全てを託した思いが込められていてヴィッキーだけでなく観客一同がホッと胸をなでおろすエンディングだった。この車を取るか、、と言うのはロールスロイスのシルバーシャドウでその価値は一軒家が買える程、それを自分のものにして俺を摘発するか?と問われているのだ、。
それともう一箇所、この映画には避けては通れない歴代トップにランキングする程にエレガンスでセクシーな名場面があるのだ、、;
これは保険調査員に扮するヴィッキー(フェイ・ダナウェイ)が知り合ったばかりのトーマス(S・マックイーン)が真犯人だと確信して近づき、始めてチェス盤に向かい合うシーン、僅か7分のこの場面がこの映画の全てと言っても良い程の効果をあげている。
何故かリメイク版でもこの時のオリジナルソング(ミシェル・ルグラン)の”風のささやき”がエンディングで使われていた。それにフェイ・ダナウェイもカメオ出演でちょこっと顔を出していたっけ、、でもナニをやってもオリジナルの良さは超えられなかった。