”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

マオリ・オン・ステージ!

このホテル時代の”失敗談”ももう時効だぁ~、、それそこウン十年が経過しているし今やその会場となっていたレストランもホテル本体の建て替えのどさくさで跡形も残っていない。

その騒動は営業部に配属されて直ぐの頃だった、まあ生命保険や銀行マンだって最初に配属されると成績を上げる為に何とか自分なりにつてとか縁故を頼って新規契約や口座勧誘を目指して動き回るものだ、。単純無垢なこの新米営業マンもニュージーランドクライストチャーチで一年ばかり修行をしていた事があったので現地で知り合ったニュージーランド航空の職員と言う旅行業のつてがあった、。っで彼方は東京支社へ転勤されていたので挨拶を兼ねて日比谷の事務所へ伺ってみた。

今思えばありゃ完全に”飛んで火にいる夏の虫”状態(春先だったが、)先方は日本への新機種就航だったかを記念してプロモーションを企画中だった。そこへ飛び込んだこの新米社員、現地からマオリのダンサーを招聘しホテルのレストランでかがり火を炊き芝生の上でショーを開催しましょう、、って事に落ち着いてしまった。

早速その企画を持って上司へ報告を、、まあ夏前の閑散期でホテル側からの持ち出しもなけりゃレストランのお客さんも喜ぶしやってみるか、、ととんとん拍子。まあ書いてしまえば数行で片付くのだが現実にはそりゃもう大ごとになってしまった。まずレストランの現場からは客席をそれ用に変更せにゃいかんし看板も必要だろう、それなりのメニューやドリンク類だってなけりゃ雰囲気が出ないし、それに簡単に芝生の上とは言っても日本じゃ何処へ行ってもそうだが”芝生には入るな”の看板が立っている。営繕課からは芝生の上でマオリのダンスだぁ~、、と説明した途端に席を立たれる始末、参るよな~、日本はそう簡単には物事が進まないのだ、。

そして今度は客室課からマオリのダンサー用に部屋を無償で貸し出すなんて冗談はコロッケだぁ~、、と突っぱねられる始末、もう企画の段階で八方塞がり、。外へ出て一生懸命営業している方が数倍楽って事はこの時、肝っ玉に植え付けられた。そう社内で根回し、お願い、相談、まさにこれが”ほうれんそう”の毎日だった。

イメージ 1しかし毎日対立していても一向に進まない、時間はどんどん経過するしニュージーランドからはマオリのダンサー6人が選出されやって来るのだ、、それも10日間の滞在だった。

こうなったらもう社内の関係各所にお願いして回るっきゃない、。予算計上は無論だったがカンバン代から芝の育成費、宿泊代や関連する飲食費等など、、。

何と言ってもそんなショーはそれまでの長い歴史でやった事はないのだ、それも芝生に面したレストランで窓を解放するなどとは誰も考えた事もない、それにこれが☆☆☆☆ホテルでやる企画なのか??と最後の最後まで揉めたのである。最後は始末書を帯同して根回し、連日選挙カーに乗っている気分だった。

そして遂にやって来た初日の公演、レストランにはそれが目当ての人は殆ど見かけなかった気がする、殆どが立見席で関係者、担当者はもう冷や汗ダラダラ。ショーは僅か20分程度で毎晩二回のステージ、まあ衣装は殆ど要らないので客室から降りて来れば楽屋も要らない、で待ちに待った初演だ。まあワタシは事前に見ていたので驚きもしなかったが、、芝生の上に設置したかがり火を背景にダンサー達が歌って踊って観客からは大拍手、アンコールは一切なしと事前に決めてあったので終われば直ぐに皆さん食事に戻ったり追加のオーダーをしたり、、。

そんなで10日後、こっちはげっそり痩せてしまったが会計報告では僅かな売り上げ増が報告され始末書はそのままシュレッダー行きとなりました。何人かは又、来年も定期公演にしてやろうよ、、等と言って来たがそれはカンベンしてくれ~、、。



胃に穴が開きそう度☆☆☆
ホテル側の満足度☆☆
後悔度☆☆☆☆