”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”シャツの店”(86年)

何気なく家内が見ていた番組を横目で鑑賞を、、思えばこれって86年に公開されたNHKのテレビドラマで計6話からなる作品だった気がする。オーストラリアへ旅立つ数年前の事で当時は横浜に住んでいたがテレビは今にして思えば箱型の不細工なヤツだったし次女は小学生だった、、でもワタシは全編見ていた記憶があるが何故か家内は全く覚えがないそうな、。

主演は鶴田浩二八千草薫、もうお二人とも居ないのは実に悲しい。舞台になっていたのは確か東京の下町、と言うか墨田川を渡った先の佃島じゃなかったか?実家からは目と鼻の先だったのでとても親近感があったものだ。それを山田太一が脚本を書きドラマ化した。

f:id:guch63:20191103163227j:plain


磯島周吉(鶴田浩二)は昔気質のオーダーメイドでシャツを作る洋裁者。腕前の評判は良く、大物政治家さえ、彼のシャツを仕立てたくてわざわざ彼の仕事場に足を運び、採寸してもらう。仕事に関しては一流の腕前を持つ磯島。そこに弟子入りをしているのが里見(平田満)。妻の由子(八千草薫)はシャツの工程の手伝い役ばかりで、シャツのことばかりに夢中な周吉に、由子は長年耐えていた。

ある日、妻の由子は思い切って家を飛び出し、アパートを借りて、自分の実力でオーダーメイドシャツを作る。それが意外にも好評で近所にお得意さんの宇本(井川比佐志)まで訪ねて来た。

弟子の里見と息子の秀一(佐藤浩市)は夫婦2人の仲を取りもとうとなんとか画策するが、二人の頑固な性格を思うとなかなかうまくいかない。やがて親方の周吉の生活はやや荒れ気味になり、妻の由子はそれなりに生活を楽しんで対照的になる。

このままでは夫婦解体となるかもしれないと思い、里見は親方におかみさんに裁断などの工程を任せるよう言うが親方は断る。 由子は仲直りの条件を手紙に書き里見に託す。その条件を聞きだした息子秀一は笑いが止まらない。「母さん、それは無理だよ」と言ってしまう。

妻由子が帰宅する条件は「目を見て『おまえのことが好きだ』」と言う、ただそれ一言だけ。以上ウィキから拝借したのだが実に単純明快、でもほんわかと下町情緒がこもり魅力的な主演のお二人に当時は最後まで付き合ってしまった(45分x6話)記憶がある。頑固で口下手の鶴田浩二(本物もそうだったんだろうか?)口に出して言えば何の問題もなくそのまますんなりと家庭生活に波風も立たずに収まるものを何も言えないが故、奥さんは不満でしょうがない、そんな典型的な当時の日本の夫婦間のゆらゆらを描いている。

こんな明快な物語は今だって充分シニア世代の鑑賞に堪えるのだが近年の邦画は例え評判が良いからと期待いっぱいで意気込んで見ると三球三振なんてのがあるのだ。つい先日もそんな邦画に巡り合ってしまい意気消沈している。