”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

クロウトと呼ばれる評論家諸氏と一映画ファンの違い、、?

待ちわびたコーエン兄弟の新作”No Country for Old Men”をやっと見る事が出来た。2007年のカンヌ映画祭以降、アメリカ本国は勿論のこと各国の映画評論家からの評判はすこぶる良い。中には☆x5やIMDbの評価でもA+が当たり前、、今年のオスカーレースにも参戦確実となれば一映画ファンとしては見ない訳にはいかない。

そこで122分後の客席の反応。両隣のおばちゃん曰く、”ええーっこれが5☆、、?””何でそこで終わるの、、?”(英語の呟きを日本語に翻訳)、相対的に館内の反応”--ウウー、、、、”そして沈黙。明らかに9割がた埋まった客席からは失望感が漂って来た。そこで表題の何故評論家諸氏には抜群の受けで我々一般庶民にはこんな反応しか返って来ないのか、、。

おっさんも映画鑑賞歴40数年を誇る自認シネキチでそんじょそこらの評論家諸氏よりは見た本数は負けないハズなんであるがこれは単に楽しみを糧に見るのと生活の糧として見るのとは違う反応が出るもんなんだとしか思えないのでありました。

近年”Traffic”や”Crash”そして”Babel”が高い評価を受ける事に通じるものがあるように思うのだがそれらの共通語は”やり切れない”の一言。つまりこのやるせなさの極限が評論家諸氏にはやけに受けが良いと思うのはおっさんだけであろうか?この作品も究極を描いており昨今の銃の乱射事件多発や無差別殺人、振り向きざまに殺ってみたくなった、、等などマッタク理由もなく人を抹消してしまう事を更に助長するような風潮、評論は幾ら現実とは違う映画の世界とはいえ個人的には感心出来るものではない。

更にこんな事件がアメリカ国内では頻繁に起き、現実にそれらの殺人者がいとも簡単に法の手を逃れ金の力にあかせてのうのうと暮らしているのかと思いを馳せると、とても田舎暮らしも良いもんだなどとは思えなくなって来る。

確かに映画としての出来は上々、だがこれまでの兄弟の代表作"Fargo”や"Seven"に匹敵するサスペンスフルでミステリアスなものとはほど遠くフラッシュバック、ドンデン返しで真犯人が判るなどと言う推理ものではない。CG満載が当り前の映画界にあっては実写画面が新鮮にも見えるし画面構成や脚本は大変によろしい、、秀作ではある。が評論家諸氏、、そんなにずば抜けて良い映画ですかい、、?